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空襲体験を語り継ぐ
第53回神戸空襲犠牲者合同慰霊祭

2024/03/17
 合同慰霊祭のあと慰霊碑に献花する参列者=3月17日、神戸市兵庫区

 太平洋戦争末期の神戸大空襲から79年となる3月17日、第53回神戸空襲犠牲者合同慰霊祭が兵庫区の薬仙寺で開かれた。主催したのは神戸空襲を記録する会。
  約60人の参列者の中には、父が亡くなったのでとか、親が入院したので代わりに来たとかいう息子さんや娘さんもいて、次世代に語り継ぐ可能性も感じることができた。
 お話を予定していた空襲体験者の1人が入院してしまったが、その娘さんからは学校でのお話の様子のビデオレターが送られてきた。別の行事のために参加できなかった高校生平和大使からは「神戸空襲を語り継ぎ、核廃絶、平和を築いていきたい」との熱いビデオメッセージが届いた。
 美野欣三郎さん(92)は3月17日の空襲について、「父は家に残り、母と一緒に兵庫区荒田町から山のほうに逃げたが、石井川の橋の所でB29の空襲に遭った。焼夷弾が少しずれて助かったが、周りには黒焦げの遺体が重なっていた」と空襲体験を語った。美野さんは6月19日の明石空襲にも遭っていた。
 須磨区で空襲に遭った安谷屋昇さん(90)は、「母親が『今日の空襲は今までと違う。家の床下の防空壕は危ない』と言い、地域の大きな防空壕に行ったが、空襲が始まると、『防空壕ではだめだ』と近くの学校に逃げた。学校の運動場で火災旋風が吹き荒れるのを見て、西の板宿まで逃げて助かったが、その時の焼夷弾と火災旋風の不気味な音がずっと忘れられない」と語った。
 「記録する会」は、今後も若い世代に神戸空襲を語り継いでいく取り組みを続けていく。
(小城)