改憲の動きをウオッチング

(2024年4月10日号)

2024/04/10
■汚れた手で憲法に触るな! 改憲原案づくりの作業機関設置許すな
 自民党は3月17日の党大会で「本年中に憲法改正実現のため、国民投票を通じ、国民の判断を仰ぐことを目指す」とする運動方針を決定した。岸田首相がこだわった「任期中」(9月)の改憲が「本年中」に変更されている。
 いずれにしても時間がないため、改憲勢力の焦りが見え始めた。衆院憲法審査会の森会長が職権で決めた3月21日の幹事懇談会に立憲と共産が出席を拒否したため、会議は流れた。
 立憲、共産は、「憲法審査委員に裏金議員が5人もいる。法律を守っていない議員が憲法を語る資格はない」と主張。また立憲は、「審査会長の職権による開催は、慣例(筆頭幹事間協議)を否定するもので承服できない」と反発した。
 自民側は定例日である3月28日にも審査会を開くよう求めているが、立憲が応じる気配は今のところない(毎日)。
 国民投票を9月に実施しようとすれば、法定の広報・周知期間が60日間必要なため、7月には国会発議をしないと間に合わない。「任期中改憲」に「黄信号」が灯りつつある。
 定例日の28日は先送りされた(3月28日現在)。
■国会抜きの「歯止め」は「歯止め」にあらず次期 戦闘機輸出を閣議決定 「死の商人」国家への道を歩むのか
 「紛争を助長する国にはならない。日本製の武器で、人が殺されることがあってはならない―。戦後日本は平和憲法の下、そう誓って武器の輸出を厳しく自制してきた」―朝日新聞社説の冒頭部分である(3月27日付号)。
 政府は3月26日、英国、イタリアと共同開発する次期戦闘機を日本から第三国に輸出する方針を閣議決定し、国家安全保障会議で、武器輸出のルールを定めた「防衛装備移転三原則」の運用指針を改定した。
 「平和国家」の理念、9条を投げ捨て、「死の商人国家」への道を突き進むものである。断固抗議する。
 輸出条件として、①輸出対象を次期戦闘機に限定、②輸出先は、国連憲章の目的に適合する使用を義務付けた協定の締結相手に限る、③現に戦闘が行われている国を除外する―ことなどを改定した運用指針に新たに明記している。政府と自民、公明は、これを「3つの限定」を歯止めとしてアピールしている。
 しかし、輸出の可否は、国会抜きのために政府・与党のみで決定できる。協定締結国は15カ国だが、現在交渉中の国もあり、また、国会の関与もなく、政府の一存でいくらでも増やせる。さらに、輸出時点で戦闘が起きていなくても、その後に紛争当事国となって輸出した戦闘機が使われる恐れがある。
 「3つの限定」は、いずれも国会が無視され、国会関与がないため、有効な歯止めになりえない。朝日社説は結びで「武器輸出大国の米国では、その都度、議会に報告し、承認を得るのが原則となっている」「最低限、日本でも国会が関与する仕組みを導入すべきだ」と結んでいる。
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