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中小企業 個人事業 倒産の危機に直面
「今すぐ現金の補助を」

2020/05/26
あちこちの店舗のシャッターに貼り出されている「臨時休業」の貼り紙。全国で何枚になるのだろう

 新型コロナウイルスの猛威の中、中小零細企業の多くが倒産の危機に瀕している。建設業や運送業はその影響は今のところ小さいが、商店が大波をかぶった状態だ。「今すぐ対策を立ててほしい」「今すぐ現金が欲しい」というのが、零細企業者の切羽詰まった思いだ。居酒屋、レストラン、遊興施設など軒並み店を開けられなかったり、開けていても商売にならなかったりという状況である。
 客が来ない、店を開けられないとなっても、従業員には給料を払わなければならない。社会保険料、電気・ガス代、家賃も待ってはくれない。こんな固定費の支払いにたちまち追い詰められていく。このまま指をくわえて見ているわけにもいかず、ある会社は、まず社長一家の給料を月10万円に下げ、助成金や融資などで何かいい情報はないかと相談があった。雇用調整助成金がかなり改善されそうだと教えると、パートの人も含め休業補償でがんばってほしいと従業員に訴えたそうである。しかし、そんな休業手当では食べていけないと、パートの人を中心に辞める人が出てきた。
 この助成金、条件の緩和や給付率の引き上げなどが伝えられているが、実際に助成金はいつごろ手に入るのか、そのときまで会社が生き残っているのか、というのが正直なところである。融資は借金だから返さなければならないが、助成金は返さなくてもいいのだが、やっぱり手元にお金がくるまで時間がかかりすぎる。おまけにこんな状況でも従業員に休業補償を払うことが条件なのだが、その資金がない。
 阪神・淡路大震災のとき、雇用保険から休業手当という制度ができた。名前こそ休業手当だが、手続きも給付の中身も失業手当そのものだった。会社にとっては、いざ事業を再開するというときには従業員がいないといけないので解雇は避けたいし、給料という最も大きな額の現金が当面は心配しなくても済むのである。事業主にも労働者にもどちらにも助けとなる制度だと思うのだが、国会議員の前でこの制度をつくってほしいと訴えたが、残念ながら全く反応がなかった。
 これに加えて大きな額になる社会保険料の減免、支払い猶予もありがたい政策だ。零細企業者にとってはなけなしの金だが、普段の給与の6割の休業補償をもらえたとしても、そこから社会保険料が引かれる。月給30万円の人で休業補償が18万円、そこから社会保険料が4万5千円引かれる。会社も同額を払わないといけない。これでは食べていけない。これが免除になり、猶予なりされると会社も労働者も大助かりだ。
 にもかかわらず、いま実現しそうなのは、家賃補助の方である。半額とかいう話だし、全体に額が少なくて済むからだろうか。しかし、これは事業主だけに喜ばれる話だ。
 阪神・淡路大震災のときも企業には様々な助成金や補助金がついたが、国は個人への補償はできない、の一点張りだった。やはりこの国は、今も一人ひとりの国民の苦しみを見ようとしないのか。
 西神戸中小企業労務協会(祥)