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王子公園再整備問題
大学誘致計画で神戸市と関学が基本協定締結
2023/12/22
【写真説明】関西学院大学が新キャンパスを建設する予定の王子スタジアム。講演の一角が100億円で売却されようとしている。
神戸市は昨年12月22日、王子公園再整備に伴う大学誘致計画をめぐり関西学院大学と基本協定を締結し、新キャンパスの開設に正式に合意した。計画では、関西学院は4千人規模の新たな学部を設置し、2029年から2031年の間に開校の予定とされる。
再整備計画、とりわけ大学誘致をめぐっては、計画発表当初からその内容や進め方について、さまざまな理由で多くの疑問や反対意見が出されてきたが、計画の撤回と市民参画などを求めて署名運動や集会、神戸市への申し入れなどを重ねてきた『王子公園・市民ミーティング』実行委員会は12月26日、改めて抗議の意も含めた申し入れを神戸市に行った。
同実行委員会代表の小林るみ子さんから、以下の”訴え”が寄せられた。
運動は「第2ステージ」へ
これからが未来への大分岐点
『王子公園・市民ミーティング』実行委員会(以下、『市民ミーティング』)は基本協定締結に強く抗議する。2年前、神戸市は王子公園再整備計画の素案を提案したが、その素案の説明会は公報を通しての周知もなく一部の市民だけを対象とした、たった1日だけのものだった。その後、年末・年始を挟んでパブリックコメントが行われ、神戸市内外から多数の意見が出されたことを機に、神戸市は市民へのヒヤリングを何度か設定してきた。しかし、その内実は、「初めに大学誘致ありき」の既定路線を変えることなく、ただ単に”聞き置く”だけの繰り返しに過ぎなかった。総じて、王子公園再整備計画は、不十分な情報公開のもと、市民不在の不透明な政策決定プロセスで進められてきたと言える。
『市民ミーティング』は、再整備計画を進めるにあたり、当初より再三、市民参画を求めてきた。神戸市に市民参画条例はもちろん、それに類する仕組みがない以上、署名運動やミーティングを通して市民の声を把握し、その上で、神戸市への申し入れや神戸市議会への陳情等を重ねてきた。
また、「王子公園再整備を国の法律『都市公園法』の理念に基づく“再整備”と位置づけ、多額の税金を使わず、現エリアを縮小させず、地理的・文化的・歴史的特色を損なわず、次世代に引き継いでいく」とした市民案を創り、神戸市に提案したが、これも一顧だにされなかった。
私たちは「王子公園の未来はみんなで決める」を合言葉に運動を進めてきたが、時代は、市民参画・市民自治の時代だ。市民の明確な“民意”こそが“公益”として認められなければならない。
今、神宮外苑をはじめとした全国の公園で、次々と再開発・再整備により公園樹木の伐採が強行されている。昨年12月3日、経緯や背景に違いはあるものの、開発行政・環境破壊・行政主導という共通点を持った十数か所の団体が東京に集った。『市民ミーティング』もその一つとして参加した。それらの団体が“つながる”ことで神宮外苑の運動を支えることができる。そして、それはまた、それぞれの団体の力にもなる、と考える。
『市民ミーティング』は1月28日、「王子公園と神宮外苑をつなぐ大集会」を開催した(次号に詳報)。神宮外苑の運動の中心を担うロッシェル・カップさんによる運動の紹介、今後の行動提起、共同アピールの発表等を行い、2月から始まる神戸市議会、都市計画審議会等を「運動の第2ステージ」としてそれへの弾みにする。
王子公園再整備計画はまだ決まってはいない。これからが未来への大きな分岐点になる。
小林るみ子(『王子公園・市民ミーティング』実行委員会代表)
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神戸市は昨年12月22日、王子公園再整備に伴う大学誘致計画をめぐり関西学院大学と基本協定を締結し、新キャンパスの開設に正式に合意した。計画では、関西学院は4千人規模の新たな学部を設置し、2029年から2031年の間に開校の予定とされる。
再整備計画、とりわけ大学誘致をめぐっては、計画発表当初からその内容や進め方について、さまざまな理由で多くの疑問や反対意見が出されてきたが、計画の撤回と市民参画などを求めて署名運動や集会、神戸市への申し入れなどを重ねてきた『王子公園・市民ミーティング』実行委員会は12月26日、改めて抗議の意も含めた申し入れを神戸市に行った。
同実行委員会代表の小林るみ子さんから、以下の”訴え”が寄せられた。
運動は「第2ステージ」へ
『王子公園・市民ミーティング』実行委員会(以下、『市民ミーティング』)は基本協定締結に強く抗議する。2年前、神戸市は王子公園再整備計画の素案を提案したが、その素案の説明会は公報を通しての周知もなく一部の市民だけを対象とした、たった1日だけのものだった。その後、年末・年始を挟んでパブリックコメントが行われ、神戸市内外から多数の意見が出されたことを機に、神戸市は市民へのヒヤリングを何度か設定してきた。しかし、その内実は、「初めに大学誘致ありき」の既定路線を変えることなく、ただ単に”聞き置く”だけの繰り返しに過ぎなかった。総じて、王子公園再整備計画は、不十分な情報公開のもと、市民不在の不透明な政策決定プロセスで進められてきたと言える。これからが未来への大分岐点
『市民ミーティング』は、再整備計画を進めるにあたり、当初より再三、市民参画を求めてきた。神戸市に市民参画条例はもちろん、それに類する仕組みがない以上、署名運動やミーティングを通して市民の声を把握し、その上で、神戸市への申し入れや神戸市議会への陳情等を重ねてきた。
また、「王子公園再整備を国の法律『都市公園法』の理念に基づく“再整備”と位置づけ、多額の税金を使わず、現エリアを縮小させず、地理的・文化的・歴史的特色を損なわず、次世代に引き継いでいく」とした市民案を創り、神戸市に提案したが、これも一顧だにされなかった。
私たちは「王子公園の未来はみんなで決める」を合言葉に運動を進めてきたが、時代は、市民参画・市民自治の時代だ。市民の明確な“民意”こそが“公益”として認められなければならない。
今、神宮外苑をはじめとした全国の公園で、次々と再開発・再整備により公園樹木の伐採が強行されている。昨年12月3日、経緯や背景に違いはあるものの、開発行政・環境破壊・行政主導という共通点を持った十数か所の団体が東京に集った。『市民ミーティング』もその一つとして参加した。それらの団体が“つながる”ことで神宮外苑の運動を支えることができる。そして、それはまた、それぞれの団体の力にもなる、と考える。
『市民ミーティング』は1月28日、「王子公園と神宮外苑をつなぐ大集会」を開催した(次号に詳報)。神宮外苑の運動の中心を担うロッシェル・カップさんによる運動の紹介、今後の行動提起、共同アピールの発表等を行い、2月から始まる神戸市議会、都市計画審議会等を「運動の第2ステージ」としてそれへの弾みにする。
王子公園再整備計画はまだ決まってはいない。これからが未来への大きな分岐点になる。