ひょうごミュージアム

ひょうご碑物語72
雀の松原の碑(神戸市東灘区魚崎西町)

2023/11/08
【写真説明】古くは『源平盛衰記』にも山陽道沿いの名所として紹介されている。浜には松原が広がる景勝地だった

 碑のある場所は、阪神電車の線路の北側で住吉川より西の公園内にある。海沿いのこのあたりが古くから魚崎の中心であった。浜には松原が広がり、景勝地として知られた。『源平盛衰記』のなかにも山陽道沿いの名所として紹介されている。
 この場所の呼称は、もともとは「雀(ささい=鳥の名)の里」と呼ばれていたが、時代の流れの中で「雀(すずめ)」と読み方が変わった。
 また江戸時代の話として、この松原には沢山の雀がいて、3年に一度くらい、この地の雀が丹波の雀と大合戦していたという。年によってはこちらから丹波の方へ攻めていたという伝承もある。ちなみに、”戦死”した雀は商売人によって焼き鳥にされたのだとか。
 近代になって、石屋川や芦屋川などと同じように、住𠮷川も氾濫を繰り返すようになり、川の東に比べて低くなっている西側はたびたび水害に見舞われた。このため、魚崎の街の中心は次第に東側に移った。
 ちびっこ広場の片隅にある2㍍弱の碑に刻まれた文字は読めなくなっているが、右側の小さな石碑には、「雀松原遺址、杖とめて千代の古家……是や昔の雀松原……」とある。
(鍋島)
【メモ】阪神・魚崎駅下車。線路北側を西へ3分。ちびっこ広場内。