新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ421
自動車運転手の労働条件改悪許さない

2023/11/08
 大手製鋼所の下請け会社で、工場内をダンプで鉱石を運搬しているK貨物では、労働者に対し、5月10日と6月15日に突如、「給与明細の変更点のお知らせ」が通知された。これによって「4月分から給与が大幅に減額」されたとして、運転手3人があかし地域ユニオンに相談に来た。
 この会社は、労働契約書も労働条件通知書もない。Aさんは、3月分の賃金で明らかに分かるのは基本給のみで、売上手当や時間外手当等がどのように支給されているのか全く分からなかった。5月に賃金制度が勝手に変更され、時間外手当が明確になったものの基本給が減額され、新たな歩合給がついたものの3月分と比較して大幅に賃金が減額されたのである。
 労働契約法では、「労働者の合意なく、不利益な労働条件を変更することはできない」のだ。会社はAさんに変更についてなんら説明もしておらず、賃金の減額変更は労働契約法違反である。
 Bさんは、3月まで「業務請負契約」で運搬作業を請け負っていた。2023年10月から「インボイス制度」が導入されることから、4月から「労働契約」に変更した。ところが、「請負」としている期間の業務実態は運賃として「時間給」で支払われており、「会社の車両で、会社の業務指示を受けている」など労働者性が高く、実態としては雇用関係にあったのではとの疑義が生じている。
 こうした課題は、どちらの雇用形態であっても、「時間外割増賃金が未支給ではないか」との問題点が浮上している。
 会社の不誠実な対応に対し、3人はあかし地域ユニオンに加入し、「要求書」を提出して交渉を進めてきた。これまでの交渉で、就業規則や賃金規程が提示されたが、実態とそぐわず、3月分までの賃金制度が未だに不明確だ。ところが、交渉の途中で代理人弁護士が辞任するなど、会社側の対応は混迷を極めている。
 会社側の法違反は明確であり、交渉で問題点を明らかにさせながら、賃金制度の改善を目指してたたかっていきたい。
宮本誠之(あかし地域ユニオン副委員長)