新社会兵庫ナウ

おんなの目(2023年11月8日号)
「ウェルネス休暇」

2023/11/08
 職場の「生理休暇」が「ウェルネス休暇」に名称変更された。きっかけは、「名称が直接的で取得しにくい」という声。「誰もが必要な時に気兼ねなく取得できる職場環境の整備を」「契約職員は無給なので有給化を」と労働組合は指摘している。
 「ウェルネス」……、何だっけ?スマホで調べてみた。「生き生きして輝いている状態」などの意味で「ヘルス」とは少し違うようだ。女性の登用などを巡って会社側は「きらり」とか「輝く」とか言うが、疲弊している現状との乖離に私は正直むかついてきた。職場は欠員だらけ、正規の仲間は長時間労働、非正規の仲間は低賃金を含め差別にさらされたままではないか。ウェルネスか……と違和感。
 また、労働基準法で「生理休暇」がうたわれているのでは?という疑問。これは私の全くの記憶違いだった。現行は、第68条「使用者は生理日の就労が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」であり、男女雇用機会均等法の1985年制定、翌年施行に伴い、労基法上の「生理休暇」という記載は「生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置」に変えられたのだった。
 当時、「母性保護抜きの平等」「過労死する平等」ではなくて実効ある均等法を求め、たくさんの行動に参加したことを思い出した。前述の労基法の改悪、人事院規則の改悪(生理休暇は「特別休暇」のひとつだったが、勤務成績には影響しないものの「病気休暇」に位置づけられてしまった)がされてもなお、健康で働き続けられる職場を求めて学習や話し合いを重ねた。婦人科や内科の医師に会いに行き、仲間の声を集め、「権利手帳」や「みつめなおそう女性のからだ」というパンフ、「忘れないで大切なこと」というスライド(パワーポイントの前身みたいなもの)を作成し、あんなにみんなで学習したのに……、忘れていた。
「母性保護」という言葉は長い闘いの歴史の中で使われてきた言葉で、決して「産む」ためだけの保護ではないこと、「リプロダクティブヘルスアンドライツ」という概念も当時学んだ。「性別にかかわらず、調子が悪い日には月に数日は取れる健康休暇と、それが取れる職場環境があれば生理休暇はなくてもいいが、今そうでない限り生理休暇は必要です」というある医師のお話は本当に納得できるものだった。
 集まって仲間と話すことの大切さも痛感する。先輩が「私、8時間労働で精いっぱい」と話された時、内心「えーっ!そうなの?」と思ったけれど、その後、育児や介護真っ只中の女性の24時間の過ごし方を知り、「誰もが健康で安心して働き続けられる職場って?」と考える大きなきっかけになった。「生理前がすごくしんどくて」とか「腹痛とか頭痛がつらい。お薬飲んでる?」とか話せることが、私自身が時々でも生理休暇を取得することに繋がり、働き続けることに繋がったと思う。
 時代は変わったけれど、時を経て人間の身体が強靭になったはずはない。だからこんなに心身を病む仲間が増えているではないかと思う。今回のことをきっかけに仲間と集まる場を増やし、健康で生きる権利、ジェンダー平等の推進についてさらに真剣に取り組んでいきたいと私は思う。
皆さんはどんなふうに思われますか。
(MM)