ひょうごミュージアム

ひょうご描き歩き144
小赤壁(姫路市木場)

2023/10/25
 前回の大塩の西、山陽電鉄・八家駅から海へと向かうと、木場港から高さ50m、長さ800mにわたって山崖が海へ張り出し、白波が打ち砕ける岩石海岸に出る。この海に沿った木庭山の南斜面一帯が「小赤壁(しょうせきへき)」と呼ばれ、昔、頼山陽がこの地を訪れた際、月夜に船を浮かべて海岸の風光を楽しんだ折、その眺めが中国武漢の南、揚子江中流域にある「三国志」で有名な赤壁に似ていることからここを「小赤壁」と名付けたと言われている。
 この木庭山の頂上に小赤壁公園が造られていて、のじぎくや桜の名所として知られるこの山を含めた磯周辺と併せ姫路市の緑の十景に制定されている。展望台や東屋のあるこの公園からは播磨灘が一望でき、左手には淡路島、右手には手前に家島群島、奥に小豆島、四国などが遥かに望める。小赤壁の東側に、海に突き出して釣り場が造られた市立遊漁センターがあり、釣り人が海釣りを楽しんでいる。その傍らに八家地蔵と呼ばれる、江戸時代に書かれた「播磨名所巡覧図絵」にも載り、古くから信仰を集めた高さ2mを超える石造りの地蔵菩薩が祀られてある。鎌倉時代の石造地蔵菩薩の優作。
 スケッチに訪れた時は灘のけんか祭の少し前。色とりどりの鮮やかな幟や仕手棒が神輿の巡行路に飾り付けられ本番を待っていた。
(嶋谷)