新社会兵庫ナウ

水脈(2023年10月11日号)

2023/10/11
 「日本は天皇を中心とした神の国」、「(無党派層は)寝ていてくれればいい」、「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」―。失言・妄言癖で知られる森喜朗元首相だが、それに輪をかけて失言が多いのが麻生太郎自民党副総裁だ▼8月に台湾で、(中国への)抑止力を機能させようとすれば「戦う覚悟」が必要だ、とぶち上げた。仮にも平和憲法のもとの日本の政治家が正気で口にする言葉かよ!と思った▼その麻生が9月24日、福岡で今度はなかなかまともなことを言った。岸田政権のいわゆる「安保三文書」改定をめぐり、政権内で専守防衛を理由にこれに反対する公明党をいかにして黙らせたか。要するに、岸田首相の「なんとなくきわめて誠実そうに見える顔。リベラルそうに見えるあの顔」が、公明党に改定を認めさせたと。岸田はリーダーシップがあるともちあげたのだ▼考えてみれば、安倍晋三の、「あの人たちに政権を渡すわけにはいかない」というムキムキの正面突破型方式に対して、岸田はふわーっとした雰囲気の中で所期の「成果」をあげているようにも見える▼公明党の体たらくはともかく、この岸田流の幻惑にわれわれ自身も心しなければならないのではないだろうか。