兵庫教育労働研究会が主催し、アイ女性会議ひょうごが後援する「2023教育セミナー」が8月20日、神戸市内で開かれた（写真）。
講師は、『教育が社会を変える』の著者で、今の学校教育のあり方を鋭く批判する関西学院大学教授の桜井智恵子さん。能力主義教育は評価で人を振り分ける資本主義のための教育であることを強く主張されている。
　子どもたちの学力をつけるためにしてきた教員の努力が、実は能力主義に侵されたもので、逆に子どもや教員を追い込んでいるという指摘は大変考えさせられるものだった。今、クローズアップされている「居場所づくり」やヤングケアラーの問題についても、困っている人を支援することで解決するのではなく、そういう人を生み出している社会を変えていくことにこそ目を向けるべきだとの指摘もあった。
　さらに講演の終わりに、末期資本主義の学校の姿として、能力主義と「個別最適化」のもと、教員の非正規化とＡＩ化が進み、学校自体が消滅する可能性もあるという話が出された。みんなが集まって一緒に何かをするという「共同性」を、学校が失わないようにという指摘だった。
　約90分の講演の後、参加者から様々な質問が出されたが、それに一つ一つ丁寧に答えていただいたことや、セミナー終了後、質問者に桜井さんのほうから声をかけて話をしている姿を見て、桜井さんの人を大切にする姿勢を感じた。そういう人柄もあってだろう、「桜井ファン」がこの講演会に遠く東京や福岡からも参加した。