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私の主張(2023年9月13日号)
学校教育の今を考える(2)「定額働かせ放題」の解決を
2023/09/13
教育現場の超多忙状況が一般に広く知られるようになり、教員の志望者減の大きな原因になっている。新年度でもやはり「教員不足問題」はニュースとなって、「担任発表ができない」「担任が3回も変わった」など、この問題が依然続いていることがわかる。日教組が調べた昨年の全国平均の教員の1カ月残業時間は、小学校が93時間48分、中学校が113時間44分だ。これでは志望者は増えないだろう。
小学校の1クラスの人数が40人から35人に変更されて3年になる。今の4年生までだ。神戸市は独自予算で4年生まで35人定数を実施しているため、3年間は今までとは変わらない状態だが、問題はこれからで、例えば4年生で20人・2学級の学年は、次年度5年生になるときに急に40人・1学級になる。問題が起こらないわけがない。クラスの人数が多くなると授業のしんどさや担任の苦悩は確実に増える。かつて財務省官僚が「クラスの人数を減らすことが教育効果が上がることにつながるとは証明されていない」などと言い(それならクラスの人数を減らしても教育効果は変わらないという根拠はあるのかと突っ込みたくなる)、学校現場の多忙化を放置してきたのだ。幼稚園や保育所の担当児童数が多すぎることもマスコミで取り上げられているが、昔から現場では言われていたことだ。
教員の定数は自治体により多少増員されることもあるが、原則として法により決められている。今の教員定数で1クラスの人数も変わらないのなら、多忙状態は変わらず、教員志望者の減少を防げないまま教員不足が続いていく。非正規教員でカバーしようとしているが、限界がある。収入面でも不安定な働き方であるからだ。児童数、学級数だけを基準とした配置ではなく、複数担任やフリー教員などを正規で配置できる新しい定数配置も考えていくべきだ。
そして、この問題解決を遅らせている大きな要因が次の点である。
現在、公立学校の教員は「教職員給与特別措置法」(給特法)によりの給与の4%の調整額上積みがされている代わりに残業代は支払わないという制度になっていて、これが「定額で働かせ放題」という実態を生み、多忙状態の温床になっている。
文部科学省は、ブラックといわれる教員の職場環境改善について、昨年末より有識者会議を設置し、どのような議論をすべきかという論点整理の検討を行ってきた。この中で給特法制定時から大きく変化した時間外勤務の実態の確認、調整額や手当、教員定数の改善、35人学級の拡大等が論点として上がっている。文科省はこれらを元に中央教育審議会(中教審)で議論を進める方針のようだ。
そんな中、自民党の「令和の教育人材確保に関する特命委員会」から提言案が出された。
この提案の中では教員の平均時間外勤務を将来的には月20時間程度とすることを目指すとし、それに見合う10%以上の調整額を求めている。ただ、当面は時間外勤務月45時間以内を目指すとしており、20時間ですら、いつ実現できるか不透明だ。その後、これを含めた内閣の「経済財政運営と改革の基本方針」(いわゆる「骨太の方針」だが、どこが骨太なの?)が閣議決定された。
しかし、多くの教員が求めているものは、労働に見合った給与に上げることはもちろんだが、それより、せめて労基法で定められている程度の「過酷ではない」労働条件にしてほしいというものではないだろうか。このままでは超過勤務を抑制する力が働かないだけでなく、調整額を引き上げたのだから我慢しろと言われかねない。
これらを解決するには、給特法を廃し労基法の規定通り残業代を支払うという方法が良い。そうなると使用者もどうすれば残業を減らして質の高い教育を維持するかを必死で考えるので有効な方法だと思うのだが、そうする勇気は行政側にはなさそうだ。また、職場環境改善には前述の通り、クラスの小人数化や教員定数改善の必要もあり、いずれにしてもお金は必要だ。軍事費は簡単に引き上げられるのに、将来を担う人材養成に係る教育予算や子育て支援予算に厳しいというのはどういうことなのだろう。
今後、内閣の方針が中教審に影響を与えるのか、それを待たず内閣が突っ走るのかわからないが、いずれにしても調整額の引き上げでお茶をにごすことがないよう、本当に魅力的な職場となるよう注視し声をあげていく必要がある。
最後に一言。最近よく聞く教員の「働き方『改革』」という言葉、少なくとも為政者には使って欲しくない。安上がりな教育を目指し、ここまで教員を追い詰めたのはいったいだれなのか。言うのなら『正常化』が妥当ではないのか。
榎和男(教育労働運動研究会)
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小学校の1クラスの人数が40人から35人に変更されて3年になる。今の4年生までだ。神戸市は独自予算で4年生まで35人定数を実施しているため、3年間は今までとは変わらない状態だが、問題はこれからで、例えば4年生で20人・2学級の学年は、次年度5年生になるときに急に40人・1学級になる。問題が起こらないわけがない。クラスの人数が多くなると授業のしんどさや担任の苦悩は確実に増える。かつて財務省官僚が「クラスの人数を減らすことが教育効果が上がることにつながるとは証明されていない」などと言い(それならクラスの人数を減らしても教育効果は変わらないという根拠はあるのかと突っ込みたくなる)、学校現場の多忙化を放置してきたのだ。幼稚園や保育所の担当児童数が多すぎることもマスコミで取り上げられているが、昔から現場では言われていたことだ。
教員の定数は自治体により多少増員されることもあるが、原則として法により決められている。今の教員定数で1クラスの人数も変わらないのなら、多忙状態は変わらず、教員志望者の減少を防げないまま教員不足が続いていく。非正規教員でカバーしようとしているが、限界がある。収入面でも不安定な働き方であるからだ。児童数、学級数だけを基準とした配置ではなく、複数担任やフリー教員などを正規で配置できる新しい定数配置も考えていくべきだ。
そして、この問題解決を遅らせている大きな要因が次の点である。
現在、公立学校の教員は「教職員給与特別措置法」(給特法)によりの給与の4%の調整額上積みがされている代わりに残業代は支払わないという制度になっていて、これが「定額で働かせ放題」という実態を生み、多忙状態の温床になっている。
文部科学省は、ブラックといわれる教員の職場環境改善について、昨年末より有識者会議を設置し、どのような議論をすべきかという論点整理の検討を行ってきた。この中で給特法制定時から大きく変化した時間外勤務の実態の確認、調整額や手当、教員定数の改善、35人学級の拡大等が論点として上がっている。文科省はこれらを元に中央教育審議会(中教審)で議論を進める方針のようだ。
そんな中、自民党の「令和の教育人材確保に関する特命委員会」から提言案が出された。
この提案の中では教員の平均時間外勤務を将来的には月20時間程度とすることを目指すとし、それに見合う10%以上の調整額を求めている。ただ、当面は時間外勤務月45時間以内を目指すとしており、20時間ですら、いつ実現できるか不透明だ。その後、これを含めた内閣の「経済財政運営と改革の基本方針」(いわゆる「骨太の方針」だが、どこが骨太なの?)が閣議決定された。
しかし、多くの教員が求めているものは、労働に見合った給与に上げることはもちろんだが、それより、せめて労基法で定められている程度の「過酷ではない」労働条件にしてほしいというものではないだろうか。このままでは超過勤務を抑制する力が働かないだけでなく、調整額を引き上げたのだから我慢しろと言われかねない。
これらを解決するには、給特法を廃し労基法の規定通り残業代を支払うという方法が良い。そうなると使用者もどうすれば残業を減らして質の高い教育を維持するかを必死で考えるので有効な方法だと思うのだが、そうする勇気は行政側にはなさそうだ。また、職場環境改善には前述の通り、クラスの小人数化や教員定数改善の必要もあり、いずれにしてもお金は必要だ。軍事費は簡単に引き上げられるのに、将来を担う人材養成に係る教育予算や子育て支援予算に厳しいというのはどういうことなのだろう。
今後、内閣の方針が中教審に影響を与えるのか、それを待たず内閣が突っ走るのかわからないが、いずれにしても調整額の引き上げでお茶をにごすことがないよう、本当に魅力的な職場となるよう注視し声をあげていく必要がある。
最後に一言。最近よく聞く教員の「働き方『改革』」という言葉、少なくとも為政者には使って欲しくない。安上がりな教育を目指し、ここまで教員を追い詰めたのはいったいだれなのか。言うのなら『正常化』が妥当ではないのか。