新社会兵庫ナウ

地域ユニオン あちこちあれこれ(2020年4月28日号)

2020/04/28
外国人労働者の解雇問題での一つの学び
 3月18日、ブラジル人労働者から相談があった。播磨町にあるシマブンコーポレーションの下請け会社で溶接部にグラインダーで面取り加工をするという作業に従事していた。労働日数は、仕事がある時のみの出勤で、1日7時間45分、時給1400円。週の平均勤務日数は5日、勤続年数は1年を経過。理由はあきらかではないが3月17日に解雇通告されたという。
 本人がユニオンに相談にきて、あかし地域ユニオンと合同で対応した。本人曰く「解雇通告を言われた席で押し問答があり、双方が警察に被害届を提出した」。どう対応していいのかわからず相談にきた。雇用契約は口約束で、雇用保険・労災保険等、最低の保障制度のことも不明。相談に当たり本人に、雇用保険制度・解雇手当・解雇通告手当・2月の賃金の保障を確かめるよう求めた。
 3月20日に社長からユニオンと団体交渉を持ちたいとの連絡があり、団体交渉を持った。会社側の回答は、「本人との雇用契約書は交わしていない。雇用契約関係は雇い止めのことも含めて口約束だけ。今回は雇い止めということになる。雇用保険も労災保険も未加入で、指摘されたら何も返答はできない」というもの。そして、「いろんなことがある。本当は雇い入れたいのは日本人だが、下請け会社には来てくれない。仕方なしに外国人労働者の雇用になっている。雇っても大変で、言葉の違いもあり、作業のやり方でも安全な方法などを指導しても理解できないので勝手にする」という言葉が返ってきた。
 結局、解雇に対しては、解雇手当てとして2019年12月、2020年1、2月分の勤務の半分の支払いをする。2月の賃金は支払う。雇用保険は手続きするということになった。また、押し問答での警察への被害届けは取り下げるとの内容で双方和解となった。
 外国人労働者が雇用される現実を、今回の相談を通じて考えさせられた。言葉の問題から戸惑うし、本人の言い分を十分に聞けているのか、こちらの話が相手に理解されているのか……、難しい。難題だ。しかし現実として、外国人労働者でも何か不利益や問題が起これば同じ労働者として立ち向かうしかない。今回、関わって学ぶことができた。
岩本義久(はりまユニオン書記長)