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反核・非戦の決意新たに
明石で第19回ピースフェスタ

2023/08/06
【写真説明】(上)メイン行事の田島征彦さんの講演会には150人が参加した=明石市勤労福祉会館 
(下)会場には戦時下のくらしの品々も展示され戦争への思いを呼び起こした=明石市勤労福祉会館

 
 敗戦から78年の夏。戦争と平和をめぐる世界の状況は一段と悪化し、深刻化している。ロシアによるウクライナ侵攻はさらに長期化し、日本を含め軍事協力、軍事同盟の強化が進み、核抑止論をも勢いづかせている。日本では南西諸島の軍事要塞化や敵基地攻撃能力の保有を含む防衛費2倍化など軍拡の暴走が止まらず、「新たな戦前」という表現がより真実味を持つような状況が生まれてきた。そうしたなか、広島県知事、広島市長や長崎市長がそれぞれの平和記念式典でそろって核抑止論を強く批判し、核廃絶への強い思いのメッセージを述べた。改めて戦争の悲惨さと平和の尊さを考えさせられる8月だった。
 
 明石地労協人権平和センターや多くの市民団体などでつくる実行委員会が主催する「第19回ピースフェスタ明石〜平和・いのち・子ども〜」が7月28日から8月6日の期間、明石市の2会場を使って開かれた。
 7月28日から8月6日まではアスピア明石のウォールギャラリーで「安田菜津紀写真展」や「原爆と人間展」などのパネル展示が行われ、メイン会場の明石勤労福祉会館では8月2日から6日まで、絵本作家の「田島征彦の世界」として、沖縄戦にまきこまれた少年の物語を描いた絵本『なきむしせいとく』原画展をはじめ、戦時下の人々の暮らしの品々や明石空襲の記録、憲法、原発、軍拡などの課題を訴えるパネルの展示が行われた。
 さらに5日は市民による「戦争体験談の集い」、最終日の6日はメイン行事として『絵本で何ができるか』をテーマにして「たじまゆきひこ講演会」が開かれ、講演会には150人が参加した。
 淡路在住の田島征彦さんは今年、沖縄戦を正面から描いた『なきむしせいとく』で講談社絵本賞を受賞。40年にわたる沖縄への関わりの集大成ともいえる作品が注目されている。
 講演会では、田島さんは自作の絵本『じごくのそうべえ』、『あつおのぼうけん』、『ふしぎな友だち』、そして『なきむしせいとく』を取り上げ、それらの作品を自分で朗読するとともに、それらひとつひとつの制作当時の自分の生活や人との出会い・交流、さらには制作にかけた自分の思いやそれにまつわるエピソードなどを次々と紹介し、それらの作品に一貫して流れるこだわりのメッセージを伝えた。それは、沖縄(戦)であり、反戦であり、自閉症の子どもや障がいをもつ子どもたちをモデルにした絵本に見られる通り人権の大切さなどであった。
 田島さんは講演後の質問に、「絵本は子どもたちだけにつくっているのではない。誰に向けてというより、自分に向けてつくっている」と答えた。