新社会兵庫ナウ
水脈(2023年7月26日号)
2023/07/26
このごろ注目した裁判2つ。1つは、神戸市西区にある金属製品の表面処理などを行う会社でユニオン組合員への懲戒解雇を争う裁判。先日、原告と被告社長への証人尋問を傍聴してきた。主尋問・反対尋問の後、裁判所が、珍しくかなりの時間をとって社長を尋問。裁判はこの日で弁論が終了し、判決日も決まったのだが、裁判長の尋問を聞いていると「こんなので俺に判決書かすなよ」という雰囲気だった▼さてもう1つ、7月11日の最高裁小法廷。経産省のトランスジェンダー女性職員に対するトイレ利用の制限は、「他の職員への配慮を過度に重視し、原告の不利益を不当に軽視するもの」として妥当性を欠き、違法と判断した▼閉会した国会で成立したLGBT理解増進法は、もともとは性的少数者たちへの不当な差別を禁止し、彼らの生きづらさを解消するための立法だった。それが、守旧派の横やりでいつの間にか「すべての国民が安心して生活できるよう留意」と真逆の文言(趣旨)が入って法律は成立し、関連団体などからの批判も強い▼その国会(立法)に比べると、最高裁(司法)の判決は人権や多様性を理解し、社会の流れを反映しているのではないか、と思ったのは私だけか。