新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ414
在日外国人労働者の相談から

2023/07/26
 昨年8月末、滋賀に住む在日ブラジル人の女性から「残業代を払ってくれない」との相談が武庫川ユニオン滋賀地域支部に寄せられた。彼女は1年前に正社員として入社し、午前中は料理を配達、午後はレストランで調理に従事してきた。その後、午後からも料理の配達を行うようになり、定時(18時)を過ぎても働く日が増え、また人手不足から休日出勤も命じられるようになった。しかし、いくら訴えても残業代(割増賃金)を払ってくれないとの相談だった。
 ユニオンはすぐに団体交渉を申し入れたが、会社から連絡がまったくないため、ユニオンから電話を入れるとレストランの責任者は「社長に伝える」と電話を切ったきりとなった。そのため、今年1月、監督署に労基法第37条違反(割増賃金未払)の申告を行った。
 会社はタイムカードで労働時間管理をしていたため、監督署の調査で残業、休日、深夜の割増を支払っていないことが明らかとなり、監督署は是正勧告を行った。
 ところが、会社は「勤務時間中に中抜けしていた」などと主張したため、監督署としては労働時間の精査や労働時間等の認定は行えなかったと連絡がきた。
なお、監督署は、会社に対して本人に連絡をして穏便に話し合ってはどうかとアドバイスしたが、会社からは本人に連絡もせず、本人が会社に電話をすると、組合の要求書に「本人と直接話をするな」と書いているので、話はしないと拒否したのである。
 そのため、労働審判の申立てを行う準備に取りかかった。しかし、そこでも労働時間がわからないため、監督署が入手したタイムカードから未払いを計算しようと、滋賀労働局に開示請求を行った。ところが、肝心のタイムカードはすべて黒塗り。会社が同意しなかったからである。
やむを得ず、労働審判を申立てる前に、証拠保全の申立をしなければならなくなった。悪質な経営者にかかると、労働者側は大変な労力と時間を費やさなければならない。
塚原久雄(武庫川ユニオン書記長)