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事業見直しで揺れる JR芦屋駅南の再開発事業問題

2020/04/28
(写真)再開発事業の新年度予算案当初案も修正案も否決された状態のJR芦屋駅の南側地域

時代に即した柔軟なまちづくりを
新社会党芦屋総支部は主張

 
 この3月、芦屋市議会がJR芦屋駅南再開発事業にストップと、マスコミ各社が取り上げた。再開発と言えば大型公共事業で、各地での失敗例も散見され、インターネットなどでは芦屋市議会の動きを好意的に受け止める書き込みも見られる。
 こうした受け止めの背景には、全国的に見受けられる駅前の大きな広場と高層複合ビル、そして開発後のビルなどの管理運営破綻のイメージがあるからだと思う。芦屋市の事業化も、ご多分に漏れずバスなどのロータリーと高層複合ビルの配置計画である。
 当地区は、戦災復興計画に位置付けられたが手つかずになっていたものだ。その後、阪神・淡路大震災復興計画で事業化に向けた調査活動が進められたが、市の財政状況の悪化を受け、一時凍結に。その後、財政状況に目途が立ったとして事業再開に着手、地元地権者などによるまちづくり協議会での検討やまちづくり基本計画のパブリックコメントが実施された。以降、市街地再開発事業として都市計画決定、事業計画決定の手順を経て、地権者との権利変換交渉協議を深め、改めて事業の枠組みが整ったことから事業計画変更認可と新年度の用地買収費予算が議会審議となっていた。
 この審議の中で、今まで大勢として事業推進に賛意を示していた会派・議員から事業の見直しを求める声が相次ぎ、市の再開発事業特別会計予算案などに対する減額修正案が多数で可決された。これに対し、市長は再議を求めて臨時会を開催、修正予算は否決されたが、本予算自体も否決される事態となった。
 事業見直しを求める意見は、①地権者の全員合意が前提、②事業費減額が必要、③市財政は長期収支見通しで悪化傾向にあり、新型コロナウイルス感染症による景気後退も避けられない、とするものである。どの意見も傾聴に値するものと思われ、行政との質疑は熱を帯びていたが、事業を進めようとする市と「見直し」を求める会派などとの間で合意形成に至るかは難しい局面と思われる。
 この間、新社会党芦屋総支部は、議会での質疑や季刊『新社会あしや』で、再開発事業手法の是非、住民合意の必要性、画一的事業展開、再開発ビルの管理運営などについて問題を提起。これまでの再開発事業の前例踏襲でなく、経済の低成長、少子高齢化など時代に即した柔軟なまちづくりの必要性を質してきた。
今後も、議会の判断が「事業中止」になる場合の影響や課題整理、何よりも住民主体のまちづくりを進めるうえで広く住民の意見を集約し、事業を問い直していく必要が求められている。
(芦屋総支部・前田辰一)