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今こそ労働組合の役割大
ひょうごユニオンらが対応強化へ

2020/04/29
非常事態宣言下、深刻な影響拡大
 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない。WHOがパンデミックを表明したのは3月11日。症例数が世界で12万人に迫るとされた時期だった。それがいまや世界で238万人を突破、死者数は16万人を超える事態となっている(4月20日現在。米ジョンズ・ホプキンス大学集計)。こうしたなか、安倍首相は4月7日、ついに兵庫県を含む7都府県を対象に非常事態宣言を発令、人々の接触機会の最低でも7割削減、外出自粛などを呼びかけた。その後、15日からは兵庫県でも業種を幅広く指定し、休業補償がないままの休業要請が始まった。何としても感染拡大は抑え込まねばならない。だが、経済とくらしにもたらす深刻な影響は労働者をはじめ、とりわけ弱い立場の人々を直撃する。収入面からも命にかかわる問題だ。すでに新型コロナウイルスによる事業縮小などを理由にしたリストラも始まっており、経営が立ち行かなくなった中小・零細企業、個人事業主が激増するのは必至の状況だ。しかし、政府が打ち出した緊急経済対策たるや、まさに”焼け石に水“。助成・支援の規模や速度などその実効性は疑わしい。国民の“いのちとくらし”が軽んじられる安倍政権の下、雇用・労働問題の課題も切実だ。
 
 安倍首相による突然の学校一斉休校の要請が行われた後の3月6日から「新型コロナウイルス 労働・雇用ホットライン」に取り組んだひょうごユニオン(岡崎進委員長)などは、今後、労働者にはさらに厳しい影響が襲いかかることは必至だとして、今後の雇用・労働相談活動にどう対処していくかなどについて、社会保険労務士も助言者に招き関係組織の役員などを対象にした学習会を4月6日、明石市内で開いた。
 学習会では3月6日から31日までに受け付けた119件の相談について、その集計結果や特徴点などをNPO法人ひょうご働く人の相談室の山西伸史事務局長が分析し、説明した。目立つのは、いつもの労働相談とは違い非正規の労働者からの相談が圧倒的に多いことで、こうした状況のなかで格差が一段と顕著なことが明らかにされた。また、個人事業主をはじめ、経営の立場にある人からの相談の多さも目立ったことが報告された。
 有田成子・社会保険労務士からは、小学校休業等対応助成金(事業主向け)、同対応支援金(個人委託向け)、休業手当、雇用調整助成金制度の特例措置、緊急小口資金・総合支援資金(特別貸付)など、政府が明らかにしている助成・支援制度などの解説を受けた。
 また、今後の課題として、ひょうごユニオンの小西純一郎書記長は「すでに始まっているが、今から本格化しようとしているリストラや賃下げなどの事態の悪化に対して、労働運動としてどう連携しながら反撃していけるかが問われている。雇用問題の深刻化はこれからだ」と問題提起。そうした提起を受け、「いま、8割くらいが電話相談だけで終わり、ユニオンの紹介は1割にもなっていない。もっとユニオンにつなぐこと、労働組合としてきちんと対応することに向かっていかないと」「政府や自治体にも要求しながら運動として組織していくことが大事だ」などの意見がでた。
 ひょうごユニオン(☎078・382・2116)には4月に入ってからも電話相談が多数寄せられている。 
 
(写真上)これまでの相談活動を踏まえ今後の課題について話し合った学習会=4月6日、明石市

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街の風景も一変…
 
兵庫県に非常事態宣言が発令された翌日の元町・大丸前の交差点の風景=4月8日、午後4時