新社会兵庫ナウ
水脈(2023年6月28日号)
2023/06/28
過日閉会した通常国会は色々な意味で異常であった。国の基本方針や個人の暮らし方を大きく変えてしまう重大な内容の法案が、国会で十分な議論をされることなく次々と可決、成立してしまった▼原発の60年超運転を可能にし、原発回帰を図る「束ね法案」のGX脱炭素電源法、健康保険証を廃止するマイナ法等の改定、武器の開発・輸出を支援し、国有化も可能にする防衛産業強化法、国際的にも批判される改悪入管難民法、意味をなさないLGBT法、そして最終盤に成立した防衛費増額財源確保法……、紙幅が足りない。しかも財源は先送りというおまけまでつく▼反対論の広がりや高まりが余りにも弱かった。法案によっては野党の翼賛化も目立った▼そして、国会最終盤に吹いた解散風。大義がなくても首相自らが「解散権」を弄び、解散風を煽っては野党をけん制、法案の成立を諮った。浮かび上がるのは、政治の軽さと野党の迫力不足ではないかと思える。現実に基づく真摯な検証もないままに既定路線が数の力で追認され、首相の好き放題がまかり通る。そこに見えるのは、首相の明確な政治信念などではなく、たんなる便宜主義が漂う姿である。総裁の座への意欲とそのための方策だけが見える。