新社会兵庫ナウ
水脈(2023年6月14日号)
2023/06/14
政府は「異次元の少子化対策」加速化のための年間3兆円の財源として社会保障費などの歳出改革(削減)をはかるほか、国民1人当たり月500円程度の社会保険料負担増を2026年度から実施で検討。経済財政運営の指針「骨太の方針」に明記する▼一方では、2024年度中には団塊世代が全て後期高齢者になる。高齢化率は30%を超え、およそ700万人(5人に1人)が認知症になると推計されている。介護保険制度の給付削減と保険料負担増が続き、最近では「ビジネスケアラー」(男性正規労働者も介護離職の危機)対策の必要が叫ばれる等、介護の社会化とは程遠い、家族にすべての責任と負担、日々の介護がのしかかる姿が見えている▼今にも侵略の危機が迫るかのごとく軍備の拡充を最重要課題に据える政府が、将来にわたる国民の安全対策を理由として「今を生きる国民の責任」に求めている費用は43兆円だ▼2022年度の国民負担率は47・5%。実質賃金の低下が続く中、負担率はさらに上がると見られている。危惧される「新しい戦前」は、国会議論を形骸化し、社会の反対の声を無視する岸田政権によって国民生活に具体的に表れている。暮しを蔑ろにする平和はない。