新社会兵庫ナウ

水脈(2023年5月24日号)

2023/05/25
一昔前、労組の組織率が30%前後だった頃、今の季節に相応しいイメージを代表するのは「労働者」だった▼メーデー、春闘のストライキ、新緑を渡る薫風にもこの匂いが漂った。休日の六甲山は組合旗をなびかせた青年部のレクで賑わった▼昨今の春闘は、お節介と言いたくなる政権や経団連のおしゃべりが目立ち過ぎる。彼らがよく使う「真水」で賃上げはどれほどになっているのだろうか。実質賃金も、実質的な消費水準も漸減が続いている。彼らが労働者の生活に心を痛めて「賃上げ」を口走っているわけではない。アベノミクスや「新しい資本主義」のヘドロに足をとられてのことだ▼恩着せがましい「諸君の生活を左右しているのは政権や経団連だよ」というのが、連合会長をも含む労働者に耳慣れることは喜ばしいことではない。生きる力を自ら麻痺させるからだ▼私たちは賃金によってのみ生きている。酸素を吸って生きていることは忘れがちになるが、生きる権利である「賃金とは何か」ということを忘れてはならない。政権や経団連に預けてしまっていいのものではない▼肺一杯に酸素を吸い込み、政権や経団連のお節介を払い飛ばすほどの大声で叫ぼう。俺たちの道は俺たちが拓く!