新社会兵庫ナウ

水脈(2023年4月26日号)

2023/04/25
何かと評判の悪い日本の外国人技能実習制度について、政府の有識者会議が4月10日、これを廃止し、新たな制度への移行を求めるという中間報告(たたき台)を示した。今秋にも最終報告をまとめ、早ければ来年の通常国会に法案提出という運びとなるようだ▼技能実習制度は、日本にやってきた外国人労働者に対して雇い主や監理団体による労基法はおろか基本的人権をも無視した事例が枚挙にいとまなく、米国務省の「人身売買報告書」(強制労働だと指摘)をはじめ国際的な強い批判も受けてきた▼今回のたたき台では、これまで日本政府が建前としてきた人材育成を通じた国際貢献という技能実習制度の「目的」と、働き手不足に悩む産業界の国内での人材確保や人材育成という「実態」がかい離していたことが多くの問題を生む背景にあったと指摘。実態に合わせて、技能実習制度を廃止したうえで、外国からの人材を労働力を備えた必要な人間として正面から認め、国内産業にとって人材確保の新たな制度として再出発することが必要だという▼やっと、モノではなく一人の人間として扱おうという議論になったのだ。議論は端緒についただけであり、さらに紆余曲折は当然あるだろう。