改憲の動きをウオッチング

(2023年3月22日号)

2023/03/22
■改憲4党 緊急事態条項の新設急ぐ 
  前号で衆院憲法審査会における立憲野党と自民や維新の会など改憲4党の攻防に触れた。
憲法審は3月2日、今国会初めての自由討議を行った。改憲4党は、口を揃えて緊急事態条項新設をめぐり、意見集約に向けた議論の加速と改憲の条文案づくりを強調。立憲民主は「時機尚早だ」と反発。発議ができたとしても国民投票法が今のままでは公正な投票が確保できないとして、CM規制などの投票法の改定を優先すべきだと主張した。
 結論が出ないことにいら立つ維新と国民は3月7日、両党の国対委員長会談を開き、「緊急事態下における国会議員の任期延長を可能とする憲法改正の条文案策定に向け、実務者協議入りすることで合意した」(時事)。この会談には「有志の会」も参加。
会談後、維新の国対委員長は「(3会派の主張の)大部分は共通している。われわれがけん引役になり、(国会の)憲法審査会をリードしていく」(同)と鼻息も荒い。引き続き、維新と国民は3月8日、改憲をめぐり国会議員の任期延長など条文案を議論する実務者協議の初会合を開き、今国会中に条文案の策定を目指すことを確認した。
 改憲4党は、たんに国会議員の任期延長にとどまらず内閣の権限を強め、人権を制約する緊急事態条項の新設に向かって突っ走っている。
立憲野党の基本的なスタンスは、改憲を前提にした議論ではなく、戦後の安保政策を大転換する敵基地攻撃能力の保有など憲法の理念に照らして岸田政治を問うことが重要だとしている。
 一方、参院の憲法審査会は3月8日、今国会初の幹事懇談会を開き、今後の日程について協議。改憲4党は月内の審査会開催を求めたが、立憲民主党が予算成立後の4月開催を主張したため、折り合わなかった。
 立憲の小西洋之野党筆頭幹事は、放送法の解釈変更問題について議論するよう求めた。
■トマホーク400発購入 単価は米国の倍
  岸田政権は2023年度予算案の軍事費に、敵基地攻撃能力を行使するため、アメリカの巡航ミサイル、トマホークの購入費2113億円を計上した。
予算委員会の審議が始まり、野党が質問しても購入数や単価について、「手の内を明かせない」「防衛能力が明らかになる」などと言って、答弁を拒み続けていた。が、2月27日の衆院予算委員会に至って、岸田首相が「400発購入する予定だ」と明言。単価については未だに口をつぐんだままである。
 単純計算すれば1発あたり5億2825万円となる。しかし、米海軍省が議会に示した予算書には、トマホークの単価は格納容器合わせて201万1375ドルと明記。1ドル136円で計算すれば2億7354万となり、米政府は日本に国内単価の2倍近くで売りつけていることになる。
単価を明らかにしないカラクリが、この辺りにありそうだ。(中)