新社会兵庫ナウ

水脈(2023年2月8日号)

2023/02/08
わが国は古来、「言霊(ことだま)の幸(さき)わう国」と言われ、言葉は霊力を持ち、幸せをもたらすと信じられてきた▼ところがどうだろうか。今の政治では、言った者勝ちみたいに言葉でごまかすことが大流行である。首相は何もできないことを「異次元の云々」と言って挑戦しているかのように思わせる。かと思えば、政権党の副総裁は「原発事故で亡くなった人はいない」と願望故の噓を言う▼今や「春闘」は政権や財界が頼りたげに頻繁に使う言葉である。春闘のリボンや三角柱というのがかつてあったのをご存じだろうか。組合員が「春闘勝利」というリボンを胸に着けたり、「大幅賃上げ」という三角柱を事務机に立てる。資本や当局はそれを外せと弾圧した。処分されて裁判闘争にもなった。春闘はこのように、労働者の決意表明からスタートした。もちろん、その頃は当局や資本は春闘という言葉を極端に忌み嫌って、春季賃金交渉と言っていた▼今、本当に必要なことはひしゃげがちの社会を漲らせようとする力をつくり出すことである。その力を秘めているのは「労働者こそ社会の主人公」という自覚を封印されている人たちである。話し合って、呟き合って、力の源泉に手を伸ばそう。