新社会兵庫ナウ

地域ユニオンあちこちあれこれ(2020年4月14日号)

2020/04/14
労働法を知らない、市の委託法人
 3月に入ってから、高年齢の相談者が増えた。
 ある72歳の男性。週1〜2回、4時間程度の仕事をしていたが、雇止め=解雇されたという相談だった。
 解雇と判断した理由は、「反復更新4回」「『次期更新することがある』ことが明記され、次期更新されることが前提であった」「労働契約書は毎年遅れがちで、形骸化されていた」などの事実があることである。
 契約期間は3月24日までだが、雇止め=解雇の通告は 3月2日だった。雇止めの文書の日付は2月20日付で、法人印もなし。雇止めの理由を確認しても、明らかにされず、相談者は怒りが収まらなかった。
 交渉相手は、神戸市から子どもの教育関係などを受託している法人だった。3月26日に交渉を開いたが、解決はできなかった。法人が、有期労働契約の基本を理解していないこと、気に入らなければ雇止めすればいいと考えていたからだ。
 雇止めの理由は、「当会の運営方針に理解をいただけず、業務の支障が生じるため」だったが、その具体的な事由はない。理事長は「運営についていろいろ指摘いただいたが、合わないところがあった」「つながりが取れなかった」と回答した。
 ところが、この法人の運営方針を聞くと「いろんな人(年代も含め)の居場所づくり」「つながりを作る」という。これまで働いてきた人から「居場所」を奪い、つながりを作る努力をしなかった法人が、運営方針が守れていなかったことを解雇の理由として回答した。あまりにもひどい回答を指摘すると、「そういう法人なんです」と理事長は開き直った。
 労働者を大切にできない法人が、子どもたちを大事にできるのだろうか。疑問に思う。子どもたちは成長し、社会に出ていく。そのときに、このような解雇が「普通」になる社会が「いい」と考えているのだろうか。子どもたちが今見ているその先を考えることが、教育として必要ではないのかと思う。
高齢者だからといって自由に解雇していいということではない。労働者に年齢は関係ない。働く権利を奪うことは、許されない。
 そして、神戸市が、労働法を知らない法人に教育部門の一部を委託していることも問題にしたいと思う。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン書記長)