ひょうごミュージアム

ひょうご碑物語63

清水公照文学碑
(姫路市書写)

2022/12/28
姫路市書写の里・美術工芸品館の入口にある碑。元東大寺別当の清水公照師の直筆で「五風十雨」とある
 竹林に囲まれた「姫路市書写の里・美術工芸館」は、朱塗りの大柱が独特の外観を見せる。その竹林の中央にある会館の入口の碑が写真である。清水公照師の直筆で「五風十雨」と書かれているが、その意味もさながら、そう読めないような独特の字である。
 清水公照師は、1911年(明治44年)飾磨郡曽左村六角(現・姫路市六角)に生まれ、1927年、東大寺塔頭宝厳院に入寺。龍谷大学を卒業後、参禅。終戦を出征先の中国廬山で迎えた。1963年、東大寺学園幼稚園園長に就任した時、園児の作る紙粘土細工にヒントを得て「泥仏」の創作を思い立ち、また、園児が描く奇想天外な絵に触発されて墨画を描くようになったと言われる。「五風十雨」の書体もその無垢な心の表れなのかもしれない。
 東大寺の207世(1975年)、208世(1978年)別当に就任した時は大仏殿の大修理が始まった大変な時期であり、全国行脚で浄財を集め、大修理を成し遂げた。
 「姫路市書写の里・美術工芸館」が1994年に開館した時、清水公照師は名誉館長に就任し、数々の師の作品が収蔵(一部は常設展示)された。
【メモ】JR姫路駅北の神姫バス・姫路駅ターミナルから書写山ロープウエイ行乗車。約30分。