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「企業外労組7割が運営難」という記事

2022/12/14
 10月17日の神戸新聞朝刊の3面に「企業外労組7割が運営難」といった見出しの記事が掲載された。ここで言う企業外労働組合とは、「組合のない会社で働く人でも個人で加入できる組合のこと」、「合同労組」「ユニオン」とも呼ばれる、といった注釈が添えられてあった。この記事に対する批評を試みたいと思う。
 率直に言って、ユニオンに対する悪意が込められた文章だというのが私の第一印象である。共同通信社が実施したアンケートを基にこの記事は書かれているが、「後任確保の見通しが立っていない」「幹部が高齢化している」「運営資金が足りない」といった回答が多かったことが記事のネタにされている。
 同時に、アンケートに回答した63団体の仲間が設問に対し真摯に回答したことが読み取れた。記事そのものは誤った内容ではないものの、読者に誤解を与えるものとなっている。
 第1に、この記事は企業外労組の運営面での課題に関して一面的にしか捉えていない。各団体は人材難や高齢化、資金不足といった課題を抱えながらも状況に適応した運営を続けている。「労働組合運動が何年もの間、困難さを抱えるなかで、ユニオンの活動はよく健闘している」というのが適正な評価だと私は考える。
 第2に、アンケートの手法に問題がある。私たちの仲間が同社に調査の趣旨を問い合わせた際、「ユニオン運動を応援する立場で記事にする」と答えたそうだが、こんな記事になるなら協力しなければ良かったと事後に思っても後の祭りであった。
 第3に、記事が引用している専門家のコメントがお話しにならない。「行政はユニオンを不当な雇い止めなどの監視役として位置付け、法整備した上で、財政面でサポートしてもよいのではないか」と述べているが、言うまでもなくユニオンは行政から独立した存在である。行政から財政面でサポートを受けた時点で、ユニオンの活動が変質してしまうことが懸念されると言わなければならない。
 細川雅弘(姫路ユニオン委員長)