新社会兵庫ナウ

私の主張(2020年2月25日号)

2020/02/25
市民に冷たい久元神戸市政 久元市政を検証する(その1)
 久元神戸市長が誕生して7年目、その政治姿勢がだんだん明らかになってきた。
 阪神・淡路大震災から25年の取材に答えた「神戸は100%復興した」という会見には多くの市民が驚きとともに怒りを感じた。震災時に兵庫県副知事であった井戸知事の「100%果たしたかというと、胸を張って言うだけの自信は私にはない。復興住宅の高齢化などの課題がある」との会見とは、大きな認識の差を感じた。
 借り上げ復興住宅の住み替え問題でも、久元市長は、住み続けたいという被災者に明け渡しと損害賠償を求める訴訟を起こし、敗訴によって立ち退きを迫られている被災者が話し合いを求めても、「退去の是非については、話し合いの余地はない」と冷たい態度をとり続けている。一方、井戸知事は、借り上げ復興住宅については継続入居ができるような条件整備を行い、継続入居を求める対象者のほとんどが継続入居できている。
 市長と知事の認識や対応の違いは、震災を経験していない久元神戸市長だからというだけの問題ではない。ヤミ専従問題を利用しながら労働組合の権限を縮小させ、勤労市民センターを文化センターにして、とうとう勤労市民課も廃止。宮崎辰雄元市長時代の総決算を目指しているようだ。
敬老・福祉パス制度の見直し 「小さい声」を抑え込み
 予算市会に、敬老・福祉パス制度の見直し案が提案された。敬老優待乗車制度は当面存続だが、低所得者向け3万円無料券を廃止。近郊区の110円均一を廃止して小児料金に。また、障がい者などの福祉パス(無料)は継続だが、母子の福祉パスを廃止し、父子も含めた一人親家庭の高校生通学補助にする。
 今回の見直しは兵庫県バス協会からの要請から始まったが、敬老パス・福祉パスの申請者は増えても、利用者数は前回変更時の2008年当時と比べて、ほとんど増えていない。交通事業者の負担率も2008年当時は約25%であり、現在は27・5%とあまり変わりはない。
 同じ時期に敬老パスの見直し議論が行われている横浜市では、神戸市の「乗る度負担」制度と違ってフリーパス制度であり、利用者が増えて、当初の事業者負担が3割であったものが現在は7割になって見直し議論が始まっている。横浜市の事業者が見直してほしいとする事情は理解できるが、神戸市の場合は事業者の要請はまったく理解できないものだ。
 本来、前回の見直し時に矢田前市長が民間交通事業者にしたように、久元市長が兵庫県バス協会の要請の根拠を問いただし、説得するべきなのだ。ところが、根拠のない兵庫県バス協会の要請をたてに、今回の見直しを提案してくるのは本末転倒であるといわねばならない。しかも、今回の見直しでは、多くの高齢者が利用する敬老優待パスの見直しは将来課題にして、対象者が少ない母子の福祉パス制度や低所得者、距離料金利用者の制度を見直すのは、「小さい声」を抑え込んだ弱いものいじめだと言わねばならない。
須磨水族園の民間再整備で入園料が3100円に 「家族でいけない」と悲鳴の声
 スマスイで親しまれている須磨水族園の民間再整備によって、利用料金が大人1300円が3100円に。子ども料金も、これまでの無料が1回目は500円だが、その後は1800円に値上げされる。大人2人、子ども2人で約1万円だ。神戸では子連れの家族が気軽に行けると評判が良い須磨水族園と王子動物園だ。その水族園が市民から遠い存在になってしまうことに市民の反発が広がっている。
 しかも、民間再整備の目玉はシャチショーだ。シャチショーは動物愛護の観点からアメリカなど欧米を中心に反対の運動が広がり、シャチショーは廃止されている。また、海外からシャチを輸入することはできず、国内では繁殖に成功した例はなく、30年間の営業にはあまりにもリスクが高いことも市民の批判の広がりの原因になっている。海外からのインバウンドを求める余り、P―PFIという開発手法で、市民の財産を失う結果になってしまう。
 ※次回に「その2」として、①教師間いじめ事件等での久元市長の教育介入、②三宮再整備問題などを掲載します。 【編集部】
あわはら富夫(神戸市会議員)