改憲の動きをウオッチング

(2022年11月9日号) 

2022/11/09
■ぶれる立憲代表発言 党内外に大きな波紋
 「憲法の平和主義を守る核として、『立憲フォーラム』を再スタートさせたい」(産経、フォーラム代表・近藤昭一衆院議員)。
 「フォーラム」は10月19日、国会内で会合を開いた。「フォーラム」は、「人権の保障を宣言し、権力の分立を原理とする統治機構を定めた憲法」を基礎にすえた立憲主義の立場をいま一度確認すべきだ(設立趣旨書)との旗を掲げて、立憲民主党などの国会議員を中心に、2013年4月結成。当時の安倍改憲政権に対峙してきたが、最近は休眠状態が続いた。岸田政権の改憲や軍事力の抜本的強化、軍事費の倍増などの動きが強まっている中、これらの動きに歯止めをかけようと、再スタートした。
 その直後の10月21日、泉・立憲代表は講演で「日本維新の会は改憲政党だが、実は差があってないとも言える」「決定的な対立ではない」(毎日)と述べ、9条改憲についても「集団的自衛権をフルに認めることに問題があるので、必要であれば憲法審査会で議論をすればよい」(NHK)と憲法審での議論を容認した。
 ぶれもぶれたり、とんでもない発言が飛び出したものだ。言うまでもないが、維新は改憲や防衛力強化の突撃隊の役割を果たしている。改憲で維新と協力する余地などどこにもないはず。
 臨時国会で計8項目の政策合意を結んで「共闘」しているとはいえ、党幹部は「9条改憲の議論にわざわざ触れる必要はないし、維新へのすり寄りが過ぎる」と批判、若手議員は「党には改憲に慎重な支持者も多い。週末は『どうなっているんだ』と何度も聞かれた」(毎日)と苦言を呈する。 
 共産党の小池晃書記局長は記者会見で「国会の中で一致する課題で協力することはありうるが、憲法は市民と野党の共闘の大きな柱だ。危険な議論になりつつある」(同)と警鐘を鳴らした。  
 泉・立憲代表のとんでもない発言に党内から「維新へのすり寄りだ」との批判が出ているが、呼びかけられた相手である維新の会は「憲法で立憲に寄せることは一切ない」とつれない返事。維新の藤田幹事長は、10月26日の記者会見で「党としての憲法のスタンスは(立民と)かなり違う。先方と近づけるため、うちが立民の考えに寄せていくことは一切ない」「泉氏が心変わりして、憲法審で堂々と議論するなら歓迎すべきことだ」(産経)と語ったという。
■衆院憲法審査会 臨時国会初の自由討議
  10月27日、衆院憲法審は臨時国会初の自由討議を行った。
  改憲論議の加速を狙う自民党などは、昨年の通常国会同様、毎週木曜日の定例日開催を求めた。
 立憲は、今後の議論のテーマとして、統一教会問題に絡む「宗教と政治」や国論を二分した安倍元首相の国葬、国民投票法へのCM規制の導入、臨時国会召集に関する53条問題など憲法違反の政治を取り上げる構えだ。(中)