- 万葉の森(加古郡稲美町)
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〈印南野の 浅茅押しなべ さねる夜の 日ながくしあれば 家し偲はゆ〉(山部赤人)をはじめ古代より万葉集に詠まれた「いなみ野」の中心にある稲美町役場から1キロほど東にこの回遊式日本庭園の「万葉の森」がある。
町制30周年を記念して約30年前に造られ、昨年、改修工事が施され、新たに入口に数寄屋門が造られている。敷地はかつての印南野と印南の海を中心に形づくられ、海を模した池に淡路島、加古川の流れなどが取り入れられているという。この池を巡る小道を辿ると、万葉集に詠まれた樹木・草花約120種が配され、「シュンラン(万葉呼名らに)」のように標識には古代と現在の呼び名が併記されていて、大きく変わったものもあって面白い。万葉の草花が詠み込まれた陶板の歌碑も50基ほど据えられている。新元号「令和」の出典とされる〈時に初春の令月に……〉の歌碑もあり、以前からの陶板の歌碑の横に改元を記念して石の歌碑が新たに設置された。いなみ野を詠んだ石の万葉歌碑も処々に混じる。「いなみ」は万葉集では「稲見」、「印南」、「伊奈美」などと表記されている。
さして広くない園内を辿ると古代に誘われたようで楽しい。
園の入口横に稲美町郷土資料館・播州ぶどう園歴史の館もあり、明治の初めにここに国営ワイナリーがあったことを紹介している。
(嶋谷)
2019年6月25日号
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