あびき湿原(加西市網引町)
  北条鉄道網引駅から南に3q、市の最南端に、2014年に加西市初の野生生物保護地区に指定された「あびき湿原」がある。里山林が放置されて湿地が失われていくことを憂慮した地域住民らが2013年から保存に立ち上がり、手つかずの雑木林状態の草原の木の枝打ちや雑草刈りなど散策道を整備、湿原保存会もできて貴重な湿原が守られている。総面積3千u、県下最大級の広さを誇る湧水湿原で、絶滅危惧種や希少種の宝庫となっている。特に絶滅危惧種で「湿地の昆虫3種」と言われるヒメタイコウチ(カメムシの一種)、ハッチョウトンボ(体長2pの日本最小の真っ赤なトンボ)、ヒメヒカゲ(眼状紋が魅力的な蝶)が揃って見られるのはこの湿原だけだそうだ。近くにギフチョウも舞う。道端の案内板から田圃の中の細い道を辿り湿原の入口に。金網のゲートを開けて中に入り、鳥のさえずりを耳にしながら、木漏れ日の散策道を奥へと進んで行く。「小川で靴底を洗って下さい」の標示を過ぎると湿原が静かに眠るように広がっている。訪れたのが秋で、生き物の活動が休みに入る頃のためか湿原の中の木道を辿ってみてもアキアカネが飛び交うくらい。春の妖精と言われるカタクリの花やサギソウの咲く春先から湿原の生き物たちが活動する夏に、説明を聴きながら歩いてみたいものだ。(嶋谷)
(嶋谷)
2019年5月21日号