高砂港(高砂市高砂町)
  加古川の河口の右岸は向島の高砂海浜公園。日本の白砂青松百選に選ばれた浜だが、弧を描く水辺は藻が繁殖して澱み、かつての白砂青松の面影はない。沖合に浜の入口を塞ぐような格好で人口島を造ってしまったため、潮の流れがなくなり、内海の水は澱む。自然の営みを人工が壊す典型的なもの。
 この公園の横を堀川が流れ、途中がヨットの繋留地になっていて、白く優美な船体がひしめき、帆を下ろした高いマストが静かに揺れている。
 この南堀川の船着き場の前に「工楽松右衛門旧宅」が改修されて昨年から公開されている。江戸時代、ここで生まれた松右衛門は、船の帆布を改良して丈夫で耐久性のある「松右衛門帆」を発明し、当時、日本のほとんどの船に使用されるようになったという。彼はまた、築港の技術にも優れた才覚を持ち、箱館や択捉島、広島の鞆の津などの築港にも活躍した。その功績により幕府から「工夫を楽しむ」との意味を込めて「工楽」の姓を授かった。舟板を使った板塀を持つ旧居が改修され、中には当時の家具や道具や資料が展示されている。この旧宅前の船着き場で、荷下ろしのための石段や石敷き遺構や雁木などが改修工事の際に見つかり、その整備工事も進んでいる。近くの高砂神社の境内に工楽松右衛門の銅像が立つ。昨年、この地は北前船寄港地船主集落として日本遺産に認定された。
(嶋谷)
2019年2月26日号