辻の碑(いしぶみ)(伊丹市)
 京の東寺口から下関・九州へ至る西国街道と伊丹から川西の多田神社をむすぶ多田街道が交叉する地点に建っている。高さ92センチ、幅76センチの自然石。20年前に覆屋が新調され、周辺も石張りの公園として整備された。
 碑文には、「従東寺拾里(東寺より10里)」のほかは読み取れないが、『摂津名所図会』(1798年=寛政10年刊行)によれば、その下に「距関戸(関戸に至ること)七里」、距須磨(須磨まで)七里、距大小路七里と刻まれていた。この4つの地名に共通するのは摂津の国と四方の国との境であること。つまり、京から約40`、かつ四方の国境から約28`の、摂津の国の中心であることを示している。誰がいつ建てたかは不明。
 西国街道は人びとの往来や物流、情報と文化の伝播に大きな役割を果たしたが、この碑は、酒造りで全国に名をはせた伊丹郷へ旅人を誘う道しるべとなった。
頼山陽や井原西鶴などもこのルートを辿ったに違いない。こうした人びとの往来が上島鬼貫を軸とした伊丹俳諧文化の誕生につながった。
【メモ】伊丹市北伊丹1丁目89。JR伊丹駅前から市バス山本団地行きで辻村下車。東へ150m。