- 太山寺(神戸市西区伊川谷町)
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地下鉄の学園都市駅北方、田園風景が広がる伊川谷町前開に神戸市唯一の国宝建造物の本堂をもつ太山寺(たいさんじ)がある。藤原鎌足の子、定恵和尚を開基とし、孫の宇合の建立と伝えられる天台宗の寺院。716年の建立だが、鎌倉時代に火災で焼失し、現存する建物はそれ以降に再建されたもの。41坊もあったのが現在は5坊を残すのみ。周辺は自然景観が保護されているため、境内の内外には原生林が残り、春は桜、秋は紅葉の名所として知られている。
仁王門を入ると右手に5坊の一つで安土桃山時代の枯山水名園の安養院があり、中門で入山料を払い境内に踏み入ると、正面に国宝の本堂がある。鎌倉時代(1293年頃)の建立で、肘木に和様のものと禅宗様のものが混在する特異なもの。本尊の薬師如来像が安置されている。左側の急な階段を上がって阿弥陀堂に。格子戸から中を覗くと暗闇の中に重文の阿弥陀如来坐像がある。身の丈約3mもあり、宇治平等院の阿弥陀如来像とほぼ同じ大きさ。右側に山を背に立つ三重塔には、各層4隅の尾垂木の間に「邪鬼」が置かれ層毎に白、緑、褐色と色が異なるのが面白い。傍を流れる太山寺川の上流の岩壁には不動明王が刻まれている。
大晦日、参拝者は自由に鐘を撞ける。
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