- 沢の鶴資料館 (神戸市灘区大石南町)
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冴えわたる月光のもと、軽やかな虫の音を聞きながらの一献……。秋の気配が濃くなるほどに、日本酒の風味も深まる。日本酒がいちばんおいしくなるこの時期、酒蔵めぐりなどのイベントが繰り広げられている。 神戸市東部から西宮市にかけての現在の灘五郷は、紆余曲折を経て明治期に形成された。そのもともとの契機となったのが、1754(宝暦4)年の「勝手造り令」である。コメの酒米への転用が大幅に規制緩和されたのを機に、灘の商人や地主が酒造業に資金を投じ、江戸積みの酒造業に進出する。良質な宮水の発見、丹波や吉川の酒米の大量確保、丹波杜氏の存在、海上輸送の適地であったことなど好条件が重なり隆盛につながった。 それ以前は、上方から江戸市場への「下り酒」の主流は池田や伊丹の酒だった。 資料館には、「醪仕込み」「麹づくり」「?仕込み」など、酒造りの過程のほか、発掘調査で発見された地下構造の「槽場跡」(江戸期)などが展示されている。
★神戸市灘区大石南町1丁目29―1 電話078・882・7788。阪神大石駅から南へ徒歩8分。開館は10時から16時。水曜休館。入館料=無料。
写真:灘五郷の西郷に位置する沢の鶴美術館は酒造りの過程や江戸期の槽場跡も展示している
2016年10月25日号
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