鹿ケ壺 (姫路市安富町)
 姫路市の北端の安富町で、雪彦山の南西麓に、幾段も小さな滝をなしながら流れ落ちる清流が清々しい涼気をもたらす「鹿ケ壺」がある。国道29号で安志南の信号から北への道を辿って行くと安富ダムを経て終点に関の集落。バス停で何人もの人がバスを待っていたり、薪を積んだ荷車を引く老夫婦、川岸で釣り糸を垂れる爺さんと子どもなど、急に多くの人を見かけるようになったと思ってよく見ると全てが案山子(かかし)。この関は案山子の里として村おこしに取り組んでいる。村の人たち総出演でそこでの暮らしを演じているかのようで、見ていて実にほほえましい。
 雪彦峰山県立自然公園に属し、キャンプ場もあり、川の流れに沿ってハイキングコースが整備されている。水流は岩肌に沿って蛇行し、落下する角度を何度も変えながら落ち、曲がり角や階段面で渦流となり、長い年月の間に浸蝕されてできた数十の滝壺に流下する。最上段にある滝壺の形が鹿の寝姿に似ているところから「鹿ケ壺」の名がつく。上流の川底の大きな岩床を滑るように水が流れる様は昨年のNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」のタイトルバックに使われた。
(嶋谷)
2015年9月8号