上垣守国養蚕記念館 (養父市大屋町)
 養蚕・製糸業は、1950年代にナイロンなどの新素材にとってかわられるまでは重要な輸出産業であった。大正・昭和期の恐慌のときには、この国の経済を支え、農家の大切な副業として家計を助ける役割を果たした。
 但馬は古くから養蚕が盛んであったが、養蚕技術を飛躍的に発展させたのが上垣守国である。1697(元禄10)年に発行された『農業全書』を通じて、桑の名産地としての但馬を綴ったほか、蚕飼育の技術を各地に広め、繭の質の向上に尽くした。
 昭和初期の養蚕住宅を復元した記念館は、上垣を顕彰して建てられたもので、当時の養蚕農家の暮らしを再現している。館内には、上垣が著した『養蚕秘録』をはじめ、生糸や繭など養蚕に関する文献や蚕具などの資料が展示されている。
 また、記念館に隣接して「かいこの里交流施設」があり、「養蚕と桑」をテーマに地域資源として活用する試みが行われるなど、将来への継承をめざした取り組みもある。
★養父市大屋町蔵垣246-2 電話 079-669-1580。北近畿豊岡自動車道・養父インターから天滝方面へ車で15分。開館は10時から16時。月、火曜日休館。無料。
2014年10月28日号