二見界隈 (明石市)
 見知らぬ土地にふと迷い込んでみるのも楽しくて、あてもなくそぞろ散策してみることがある。海辺で生まれ育ったせいか潮の香りのする海辺に足の向くことが多い。
 山陽電車と付きつ離れつしながら海岸線を東西に走る旧浜国道を、東二見あたりから魚住、江井ヶ島、藤江、松江、林崎にかけて、海側に一歩曲り入ると、変化に富んだ古い家並みが楽しめる。車1台が辛うじて通れる程度の細い道が、くねくねとした曲りと起伏を繰り返しながら海沿いに続く。海岸線の丘陵地帯に縦横に細い道が入り込み、漁師町の古い家々が密集する。舟板を囲った黒塀の漁村の浜では、ユーモラスな格好で干し蛸が日向ぼっこをしている光景を目にしたこともあった。大久保、江井ヶ島一帯は、300年以上も前から酒造りが盛んで、その西灘の酒蔵群も風情があっていい。瓦を造る工場は今は随分と少なくなってしまったようだ。浜に引き揚げられた補修中の船や、係留中のひしめき合う漁船、陽に焼けた漁師の顔、鼻をつく腐った魚の臭い、ゴタゴタとした漁港の雑然とした風景になぜか心が和む。東に明石海峡大橋が悠然と架かっている。
(嶋谷)
2014年10月14日号