- 藩校「敬業館」 (姫路市林田町)
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姫路市の北西のはずれ、姫路から山崎町に向かう国道29号の「林田」の標示で折れ入り、林田川の小橋を渡ると、川に沿って南北に因幡街道が通っている。車の往来が絶えない国道から急に異空間に迷い込んだかのような錯覚さえ覚える通りである。
ここ林田は、古くは姫路と鳥取を結ぶ因幡街道沿いの宿場町して栄え、林田藩建部家1万石の城下町であった。城よりも簡略な「陣屋」が置かれ、武家屋敷と町屋で形成されていた。建部神社の上にある陣屋跡には石垣や堀の一部が残り、因幡街道沿いには多数の古民家があり、大庄屋三木家住宅や藩校「敬業館」など、当時の面影を今に伝える文化財が残っている。
スケッチの敬業館は、寛政6年林田藩主建部政賢が藩校として建てたもので、士族の子弟や庶民の志願者も学べた士庶共学の全国的にも珍しい藩校で、県下に残る唯一の藩校の建物である。現在は寛政の改革で知られる老中松平定信の揮毫による扁額の架かる講堂だけが残るが、明治以降、小学校、村役場、公民館として活用されてきて、今は当時の藩校講義の模様を体験できる歴史・文化講座で利用されている。(嶋谷)2014年3月25日号