- 法華山一乗寺 (加西市坂本町)
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高砂と北条を結ぶ北条街道で、加西市のかかりを西に折れて常緑樹のトンネルを抜けると西国第26番札所の法華山一乗寺がある。
ご詠歌の〈春は花 夏は橘 秋は菊 いつも妙なる 法の華山〉と詠われた橘の若木が植わった境内を進み、最初の石段を上ると常行堂があり、2番目の急な石段の先には平安末期建立の国宝三重塔がある。ゆったりとした安定感があって優美。更に石段を上ると本堂(金堂)で白鳳仏が祀られている。その先の奥之院、賽の河原には土砂災害のため進めなかった。
寺の縁起によれば650年、法道仙人の開基となっている。法道仙人が日本にやってきた時、最初に発見した「霊地」が一乗寺背後の法華山だという。
播州路には法道仙人を開基とする山岳寺院が実に多い。第25番札所の播州清水寺や西林寺(西脇)、伽耶院(三木)、朝光寺(加東)など県下に110カ所以上あるという。この法道仙人はインド出身で鉄の宝鉢を持ち、不思議な術を使う超能力の持ち主だったとされているが、本当の事跡や没年、墓所などすべて不明で、その名前と仙術にまつわる伝説ばかりが伝わっている。紅葉の名所。
(嶋谷)
2013年11月26日号
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