- 万葉の岬 (相生市金ヶ崎)
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相生湾の東の突端に瀬戸内海が一望できる岬の高台・万葉の岬がある。国道250号線で御津町から相生市に入ってすぐの「万葉の岬」の看板で折れて坂道を登って行くとほどなく到着する。万葉の歌人・山部赤人が〈縄の浦ゆ 背向に見ゆる沖つ島 漕ぎ廻る舟は釣りしすらしも〉と詠んだ船旅望郷の歌の舞台である。
はるかに東方の明石海峡から淡路島、家島群島、牛窓に至る万葉の故地を背景に、正面すぐ眼前に辛荷島、「室の浦のせとの崎」と詠まれたこの岬の眼下に鳴島、右手にかずら島等が千数百年の風光をとどめて万葉のこころを伝えている。
湾内に目を転じると、カキ養殖の筏がひしめく。元禄年間の昔から湾奥の浜で、自然に発生した小型マガキの地蒔式養殖が行われていたが、昭和になって広島産や宮城産の種苗による養殖にかわり、今では湾内に150台ほどの筏が浮かぶ。
相生はIHIの企業城下町として賑わった造船の町で、対岸には造船所のクレーンやドックが並ぶ。毎年5月の最終日曜日に実施されるペーロン祭では、中国特有のドラと太鼓の音に合わせて力漕する勇壮なペーロン競漕が初夏の風物詩となっている。(嶋谷)
2013年7月30日号
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