- 余部橋梁 (美方郡香美町)
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竹野海岸からさらに国道178号を西に車を走らせると餘部に出る。真っ赤な橋脚が立ち並ぶ優美な姿を誇った「余部鉄橋」が、今はコンクリートの橋梁に替わってしまっている。
山陰線の鎧駅と餘部駅の間に架かる高さ41m、長さ310mの鉄橋が出来たのが約100年前。当時30戸足らずの餘部集落の上にトレッスル橋(鉄骨橋脚橋)としては日本最大の鉄橋が架かった。日本海を望んで山と山の間、地上41mの天空に架かる11基の橋脚に支えられた真っ赤な鉄橋は、鉄道ファンならずともカメラを向けたくなる旅情溢れる風景であった。1986年の冬、鉄橋を通過中の列車が日本海からの突風にあおられて転落し、多くの犠牲者を出した痛ましい列車転落事故はまだ記憶に残っている。
長年の風雪に耐え老朽化した鉄橋の架け替え工事は2007年に始まり、3年後に高さも長さも同じで橋脚だけが4本に減って、すぐ南隣にコンクリートの白い姿に替わってある。以前の赤い橋脚3本がモニュメントとしてそのまま残され、展望施設「空の駅」として保存活用されている。橋梁の真下に道の駅「あまるべ」もできているが、あの赤い鉄橋が懐かしい。嶋谷
2013年3月12日号
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