十輪寺 (高砂市)
 山電高砂駅から南へ徒歩10分、5つの寺が並ぶその中心をなす浄土宗の名刹で、法然上人25霊場第3番札所。寺伝によれば、弘法大師が勅命により創建、後に法然上人が讃岐へ流される途中に立ち寄って寺を復興させたことにより、浄土宗に転宗したと伝えられる。
 入口の仁王門を入ると正面に裳階つきの寄棟造りの本堂がある。葺き替えが終わったばかりの裳階の曲線がゆったりと落ち着いて美しい。この本堂のすぐ左手に宝篋印塔(俗に「高麗仏」)がある。秀吉が朝鮮に出兵した際、近在の水主(かこ)100人が徴発されたが、その帰途暴風に遭い、96人が溺死した。その供養のために建てられたもので、石塔を四角に取り囲む石の基壇の上に、96基の石塔婆があり、その基礎には「九十六人溺死霊」と刻まれている。
 また、そのすぐ近くに美濃部家の墓がある。高砂で生まれ育った憲法学者で「天皇機関説」で有名な美濃部達吉(長男は東京都知事を3期務めた亮吉氏)家の墓石が昨年末に復元されてある。国重文の絹本着色五仏尊像図(俗に「朝鮮曼荼羅」)は大阪市立美術館に保管展示されていて、寺で見られないのが残念ではある。
(嶋谷)
2012年9月25日号