- 百耕資料館 (神戸市須磨区板宿町)
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海に近く温暖な板宿一帯は、北区を源流とする妙法寺川の流れで肥沃な扇状地が形成された。人々の暮らしには最適で縄文時代晩期(紀元前5世紀)ごろから生活の場となった。この地で発見された戎町遺跡から水田跡や弥生時代中期の大規模集落跡が見つかり、得能山古墳や大田町遺跡の発見で原始・古代の板宿周辺の様子をうかがい知ることができる。
この資料館は、板宿の旧家・武井家が代々伝えてきた旧八部郡板宿村に関わる歴史資料を公開しているもので1988年に開館、一昨年にリニューアルオープンし、新たに常設展「板宿の歴史」が設けられた。
幕末の板宿村の戸数は55軒、人口300人ほどとされるが、板宿の地名は『平家物語』にも登場することから、鎌倉時代以前に村として存在していたと推定される。また、南北朝時代に月庵宗光によって創建された禅昌寺は、室町期に伽藍が整備され篤い信仰の対象になったことや信長から寺領の保護を受けたことを物語る史料も残っている。
★神戸市須磨区板宿町2―2―1 電話078-733-2381。山陽電鉄板宿駅下車、北西へ徒歩10分。開館は10時~16時。月・火・水曜休館。入館料=一般300円。
写真:百耕資料館
2012年4月10日号
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