- 城崎温泉 (豊岡市)
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「山の手線の電車に跳飛ばされて怪我をした、其後養生に、一人で但馬の城崎温泉に出掛けた」。志賀直哉の「城の崎にて」はこんな書き出しで始まる。城崎を愛した文人の代表格は志賀直哉といえるが、島崎藤村他、多くの歌人文人も来訪し城崎を詠み、作を残している文学の街でもある。これら城崎ゆかりの文人墨客の作品を展示する文芸館があり、そこかしこに文学碑も立つ。
城崎温泉は「一羽のこうのとりが足を癒したことから発見された」と伝説が残るが、約1300年前、道智上人により、救世祈願の仏心により開かれた。その温泉寺は街の中央を流れる大谿川の上手の大師山の麓にあるが、ロープウェイで頂上に上がると温泉街の素晴らしい眺めが一望できる。柳が枝を垂らす川沿いに地蔵湯、柳湯、一の湯、御所湯、まんだら湯、鴻の湯、そして少し離れて温泉駅傍にさとの湯とその名に由来と歴史をもつ7つの外湯が散在し、これが城崎温泉の特色であり名物となっていて、古くから人々に親しまれてきている。すぐ近くの但馬海岸で水揚げされた蟹に舌鼓をうち、温ったかなお湯につかる、これが城崎の醍醐味。
(嶋谷)
2012年1月24日号

- 西宮大谷記念美術館 (西宮市中浜町)
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一般には毎年夏に開催されるイタリア・ボローニア国際原画展で知られるが、年4回の企画展も好評のようだ。年明けからは「新春に寄せて―近代の日本画・油彩画展」が開催されている(2月12日まで)。収蔵品は近代日本画やフランス近代絵画など1千点を超えるが、主なコレクションにクールべの「眠る草刈り女」や上村松園の「蛍」がある。
また、この美術館の特徴は館内だけでなく、庭園そのものが展示スペースになっていることだ。あふれんばかりの緑と水の小道を散策すると、岡本太郎や津高和一の作品に遭遇する。最近では珍しくなった水琴窟もあって、水滴がかすかに音色を奏でる様子を楽しむこともできる。美術館全体が癒しの空間だ。
閑静な住宅街に溶け込むようにたたずむこの美術館は、夙川の西、芦屋との境にあるが、川を挟んで東には市立の郷土資料館、国道43号線を挟んで北側には辰馬考古資料館がある。夙川オアシス道路の散策を兼ねたミュージアムめぐりを楽しむことができる。
★ 西宮市中浜町4―38 電話0798‐33‐0164。阪神香櫨園駅下車、国道43号線南を東へ6分。開館は10時〜17時。水曜休館。入館料=一般500円。
写真:閑静な住宅街にたたずむこの美術館は庭園も展示スペースになっており館全体が癒しの空間に
2012年1月24日号
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