虚子記念文学館 (芦屋市平田町)
 芥川龍之介が高浜虚子に送った書簡が、このほど文学館の未整理資料から見つかり話題になった。龍之介が虚子に俳句9句の講評を求める内容で、虚子は「もの言はぬ研ぎ屋の業や梅雨入空」に二重丸をつけ返信している。
 同館では、「漱石と龍之介・文人俳句の世界―虚子との接点を中心に」を開催中(12年3月4日まで)。同展では前記の書簡のほか、漱石の「朝顔にまつはられてや芒の穂」の短冊や『ホトトギス』連載の『吾輩は猫である』の原稿、正岡子規の『仰臥漫禄』などを展示、近代小説家と俳人らの多様な交流のあったことを浮かび上がらせている。
 虚子は河東碧梧桐とともに、子規門下の双璧とされるが、俳句観を異にし袂を別つ。虚子は「花鳥諷詠」や「客観写生」の理念を確立し時代をリードするが、碧梧桐の新傾向俳句の伸張に対し、守旧派を宣言する。「春風や闘志抱きて丘に立つ」はそのときの句である。
 虚子はまた、1934年に本格的な『新歳時記』を編集し、日本人の基本的な季節感を明示した。
★芦屋市平田町8―22 電話0797-21-1036。阪神芦屋駅下車、芦屋川右岸を南へ徒歩15分。開館は10時〜17時。月曜休館。入館料=一般500円。
写真:来年の3月4日まで「漱石と龍之介・文人俳句の世界」展が開かれている虚子記念文学館
2011年12月13日号