高砂神社 (高砂市)
 「高砂や~この浦舟に帆をあげて……」で知られる謡曲「高砂」の発祥の地で、ここの松と住吉の松とが「相生の松」であるとして、夫婦和合をうたっている。相生の松と呼ばれる松は日本各地に点在するが、特にここの松が有名。
 境内奥右手に5代目の「相生の松」がある。縁結び、和合長寿の象徴である相生の松は、神社創建後まもなく境内に生え出たと伝えられ、根が一つで雌雄の幹が左右に分かれていた。ある日、尉と姥の二神が現われ、「神霊をこの木に宿し、世に夫婦の道を示さん」と告げたことから、霊松として人々の信仰を集めるようになったといわれる。
 境内左手には、帆布製造の始祖として知られるこの町出身の工楽松右衛門の銅像がある。それまでの脆弱な帆布に改良を加え、木綿を使った厚地大幅物の帆布の織り上げに成功し、「松右衛門帆」と呼ばれて全国の帆船に用いられるようになった。彼はまた、優れた築港者でもあって、幕府の命を受けて千島のエトロフ島に埠頭を築いたり、函館にドックを造ったりした。毎年10月10日、11日に秋祭りが行われ、屋台の練り合わせは勇壮華麗で迫力がある。
(嶋谷)
2011年10月25日号