呑吐ダム (三木市)
 三木市の東端に何となく勇壮な響きをもつ呑吐(どんど)ダムがある。この名の由来は、昔このあたりに大小の滝があって、川の水を呑んで吐くことから、「呑吐の滝」と呼ばれていたことによるとのこと。三木市、神戸市、東播各地の水がめとして86年に完成した。このダムによって、三木市志染町三津田から神戸市北区山田町にかけてできた人工湖が衝原(つくはら)湖で、5市1町に飲料水と農業用水を供給している。ダムに吸い取られて水量の痩せ細った流れは、志染川、美の川と名を変えながら加古川へと流れ込む。
 呑吐ダム建設予定地の上流の集落には平安初期に建てられたという日本最古の日本家屋、箱木千年家(はこぎせんねんや)があった。このダム建設によって衝原湖の湖底に32戸の集落とともに沈んでしまうため、今は約70b離れた所に移築されてある。 ダム建設は灌漑と治水で生活に直結する不可避の事業ではあるが、巨費を投じる公共事業であり大規模な自然破壊を招くことから度々問題となる。
 このダムのすぐ近くに呑吐の水神を祭る三津田鍋の宮神社がある。衝原湖の湖畔の桜並木も見事である。
(嶋谷)
2011年3月22日号