「新社会兵庫」 2019年9月10日号
 ジャーナリストの津田大介氏らを迎えて8月18日に神戸市の兵庫県立美術館で開催される予定だったシンポジウム「アートは異物を受け入れるのか」が8月9日、主催者の神戸市と実行委員会(事務局は市外郭団体の神戸市民文化振興財団)によって、「あいちトリエンナーレ」の芸術監督を務める津田氏の登壇に多くの抗議が寄せられていることなどを理由に中止が決定された。表現の自由をないがしろにする今回の判断について、中止に至った経緯や理由などを検証するとともに、あらためて”表現の自由 “を考えようと、「『津田大介さんの神戸シンポ中止』問題を考える市民の集い」が8月31日、神戸市勤労会館で開かれ、急な呼びかけにもかかわらず、集いには今回の事態に危機感や憂慮を感じた市民160人が参加した。

 集いは、憲法改悪ストップ兵庫県共同センターと「こわすな憲法!いのちとくらし!市民デモHYOGO」の共催で行われた。
 シンポジウムの中止をめぐっては、この間、主催者に対し、新社会党兵庫県本部や日本共産党神戸市議団などが中止決定に抗議し、決定の撤回を求める申し入れを行ったり、さまざまな団体、人々も声明などを出している。
 集いではまず、この間の経過について、味口としゆき氏(日本共産党神戸市議団)とあわはら富夫氏(つなぐ神戸市議団・新社会党)の2人の神戸市議から報告が行われた。ともに、申し入れの際のやり取りの中で明らかになった事実や経過が紹介され、実行委員会として十分な審議もないまま、混乱の回避だけを優先させた判断だったことが明らかにされた。
 つづいて、立命館大学講師の伊藤健一郎氏から、「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」が不当な圧力によって中止に追い込まれた事態ともあわせてコメントがあった。伊藤氏は、とにかくトラブルの防止を優先させ、表現の自由、公正さや正義が失われていると感じると述べるとともに、ヘイト思想、ヘイトスピーチにも言及し、問題の根底に戦争責任や加害の歴史に向き合ってこなかったことの反映、歴史認識の問題があるなどと提起した。
 その後、参加者による意見交換が1時間以上にわたって活発に行われた。
「表現の自由とは何か」という問題をめぐる議論をはじめ、「神戸の場合は、まだ何も起きていない段階から津田氏の考えを否定し、排除することの容認につながるもので、表現の自由にとどまらず、思想・信条の自由の侵害にも関わる。ある意味で『あいち』の企画展以上に深刻な事態ではないか」などの意見も出た。
 集会では、「いま日本社会に不寛容の重苦しい風潮がひろがっているとき、これに拍車をかけるようなことを自治体がしてはならない。神戸市がこの中止決定を改め、シンポのやり直しをするよう強く願う」などとしたアピールを最後に採択し、今後もこの問題を広く訴え、考えあっていくことを確認しあった。
写真:急な呼びかけにもかかわらず「表現の自由」の侵害に危機感を持って集まった160人の前で報告するあわはら富夫神戸市議=8月31日、神戸市勤労会館
  43の団体が参加する「こわすな憲法!いのちとくらし!市民デモHYOGO」は8月17日、今後の運動の方向性や活動計画を話し合う「夏の交流会」を神戸市勤労会館で開いた。約60人が参加した。
 交流会はまず、事務局からこの間の活動の取り組みや情勢に関する報告が行われたのち、川元志穂弁護士(あすわか兵庫)から「参院選後の改憲に関する動き」と題して問題提起を受けた。
 川元さんは、参院選直後の世論調査では政権に最も力を入れてほしいと望む政策の中では改憲は最下位の3%程度なのに、安倍首相は改憲への意欲を公言し、野党の取り込みを目指すとしていることを重視、警戒を呼びかけた。また、新しい自民党改憲案に示された緊急事態条項の危険性を強く指摘し、改めて注意を喚起した。そして、安倍政治に対抗していくための今後の運動について、草の根運動と野党共闘の深化の重要性を強調しながら、くらしに関わる消費税や年金、非正規雇用、奨学金ローンなどの問題への取り組みと経済政策での共闘を呼びかけた。
 交流会ではその後、各運動団体が取り組んでいる運動について、@辺野古の埋め立てに関する自治体意見書運動、A沖縄・辺野古、B原発、C貧困、いのちとくらし、D消費税問題、E関生への弾圧攻撃と支援活動、F「表現と自由」問題など、活動報告がつぎつぎに行われ、交流を深めた。
写真:交流会では「参院選後の改憲に関する動き」と題して川元志穂弁護士から問題提起を受けた=8月17日、神戸市勤労会館
 「有事法制に反対するネットワーク東播磨」の第16回総会と記念講演が8月17日、加古川市の県総合庁舎1階「たぱす」で開かれた。
 台風10号が近づく中、一時は開催が危ぶまれたが、当日は50人を超える参加者があり、総会と記念講演は成功裏に終わった。
記念講演は、「のびやかに、かろやかに 平和と人権」と題して版画家の岩田健三郎さんによって行われた。
 岩田さんは、これまで自分が生きてきた中から、「戦争後の辛さは地獄だ。ある意味、戦中よりも辛い」と語り、まんが、映画、小説、詩、語り部のことなどにふれながら、「戦争はしない」「戦争だけはいやだ」と思うようになり、それを叫びつづけていると述べた。そして、この大切なことをどうつないでいくのかということにも話は及んだ。
 また、講演のなかでは交流のあったフォーク歌手の笠木透さんの「軟弱もの」(笠木透作詞、増田康記作曲)、「Human Rights」(笠木透作詞、岩田美樹作曲)という歌も紹介され、今、この詩を訴え続けることの大切さを感じた。
 最後は、総会アピールを拍手で確認し、行事を終えた。
(藤井)
写真:「のびやかでかろやかに 平和と人権」と題した講演で版画家の岩田健三郎さんは自分の人生の中から反戦を訴えた=8月17日、加古川市
 8月14日は、日本軍「慰安婦」メモリアルデーとして全世界で行事がある。1991年のこの日に金学順(キムハクスン)さんが、日本軍「慰安婦」被害者として初めて名乗り出た。
 神戸では、「在日朝鮮人『慰安婦』被害者、宋神道(ソンシンド)さんを心に刻む」写真展が8月18日〜27日、神戸市灘区の神戸学生青年センターで開催された。「『慰安婦』問題を考える会・神戸」と「すべての人に尊厳と人権を!ヘイトクライムをなくそう神戸連絡会」が主催し、神戸学生青年センターが協賛した。
 宋さんは7年間も中国で「慰安婦」にされ、日本兵の子を数度出産している。戦後だまされて来日、宮城県女川町に住み差別の中を生き延びた。3・11の大津波でも命は取り留めた。1993年から被害者として10年間に及ぶ裁判を続け、「二度と戦争はしないと約束してほしい」と、負けても負けても日本政府を訴え続けた人である。
 支える会の3人の女性が宋さんを撮り続けた写真の中から70枚をパネルにし全国で写真展が開催された。
 神戸では映画「オレの心は負けてない」の上映があり、支援者で82才の柴崎温子さんが来神して宋さんの人柄や裁判闘争を撮りためた写真を使ったお話があった。
 8月23日には「神戸市外国人差別解消条例制定の意義と課題」と題して、NPO多民族共生人権教育センター(大阪)の文公輝(ムンゴンフィ)さんの講演があった。法務省委託調査を基に外国人差別の実態では、神戸市での差別件数は全国平均を上回っていたことが分かった。
 当日、講演中に在特と思われる妨害者が入室し15分間中断するという事態もあったが、10日間の写真展は、延べ300人を超える参加者があった。   
(加納)
写真:3人の女性が撮り続けた写真の中から70枚がパネルに展示された=8月25日、神戸市灘区
 神戸ワーカーズユニオン(西直子委員長)は8月25日、神戸市勤労会館で第33回定期大会を開き、相談活動の強化や交渉力の向上をめざすなどとした新年度の運動方針を決めた。
 大会に掲げられたスローガンは「一人ひとりが考える“働き方”とユニオンの“明日”」。この1年、組合員の減少や財政状況の悪化など組織的な後退を余儀なくされながらも、新しい分会の結成や新入組合員の頑張りなどもあり、まさにユニオンとしての踏ん張りどころだ。
 冒頭、西委員長は「ユニオンの良さ、足りないところを大会で出し合ってほしい」とあいさつして“ユニオンの心”を強調、仲間との連帯・団結の重み、働き続けられることの大切さを訴えた。
 その後、神戸地区労、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークやひょうごユニオン、さらに県下の各地域ユニオンの代表ら8人から来賓あいさつがあり、間に心身をほぐすストレッチ体操を挟み、木村文貴子書記長から議案提案が行われた。
 質疑・討論では、支部活動の報告、提案されている組合費改定の検討に関する要望、権田工業分会の闘争の総括をめぐる意見などが出された。また、支部や分会の紹介と近況報告が順次行われた。
 その後、@899円の最賃A消費税10%Bこの1年の一番の思い出C最も印象に残る夏休みの思い出をそれぞれの”お題”にして、出席者全員が1分間スピーチを行い、場を和ませた。
 大会で報告・提案されたすべての議案が採択され、最後は大会宣言にあたる“私たちの友だち宣言”を採択して閉会した。
写真:厳しい環境の中にあっても新しい分会の結成や新入組合員の頑張りも報告された大会=8月25日、神戸市勤労会館
インフォメーション
講演会 「日本経済の先行きと安倍政治のゆくえ
      〜希望を持てる社会への提言」
  • 日時:9月22日(日)14時〜
  • 場所:新長田勤労市民センター・3F大会議室(JR新長田駅前東急プラザ3階)
  • 講師=浜矩子さん(同志社大学大学院教授)
  • 資料代:500円(学生無料)
  • 主催=市民と野党の長田共同アクション
  • 連絡先=090・3466・0226
平和を考える集い2019
  • 日時=9月22日(日)14時〜16時30分
  • 場所=ユーアイ帆っとセンター・スペース7(山陽電車高砂駅西へ徒歩7分)
  • 内容=講演「いらんちゃ米軍基地〜経ヶ岬米軍レーダー基地の今」寺本恵治さん(憲法を生かす会須磨区の世話人)、他にギター演奏と歌、辺野古座り込み行動の報告など
  • 入場無料
  • 主催=平和憲法を守る高砂市民の会
  • 連絡先=090・5654・7145(嶋谷)
消費税増税反対行動
  • 日時=9月28日(土)14:30〜
  • 場所=東遊園地・北端の女性像の前(神戸市役所南隣)
    ※集会後、三宮センター街などをデモ
  • 主催=市民デモHYOGO