「新社会兵庫」 2018年1月23日号
世論の多数は改憲を求めていない
     改憲策動に市民と野党の共同強化を
大阪労働学校・アソシエ講師/憲法・政治学 鈴田 渉
 2018年の新たな年を迎えた。秋には自民党総裁選もあり、安倍首相にとっても節目の年となる。また、日本国憲法をめぐって改憲派と護憲派が激しい攻防戦を繰り広げる年となろう。いずれにしても安倍首相の総裁3選の結果がすべてだ。
■警戒すべき「明治150年」キャンペーン
 憲法問題を語る前に気になったことがある。それは、安倍首相の「年頭所感」の内容だ。要約すると、「明治150年」、列強諸国による植民地支配という国難に対し、先人達が明治新政府を樹立させた。身分制を廃止し、また、従来の制度や慣習から解き放ち、独立を守り抜き、今日の日本を築いた。こうしたことになぞらえて現在の「少子高齢化」を国難と位置づけ、「1億総活躍社会」の「国創り」の実行のための1年にしたいとの決意表明である。今後、全国各地で「明治150年」キャンペーンが展開されることだろう。
 所感の決定的問題点は、日本の近代化と表裏一体をなす戦争についての言及が全くないことだ。アジア諸国への侵略支配、さきの大戦では300万人もの死者を生んだ「不都合な真実」を隠蔽している。こうした「事実」に基づいて日本国憲法へとつながっている。改憲派は「押しつけ憲法」とその出自を問題にするが、前述のことからすると本質的ではない。戦争がなければ、これら多くの戦没者は、「普通に一生を終えた」に違いないだろう。戦争が尊い命を奪った、この事実に目を背けてはならない。
■まとまってはいない自民党内の改憲論議
 それでは、改憲勢力3分の2以上という国会状況の中、これからの憲法情勢への展望と、私たちはどのような構えで臨んでいくべきかについて触れていきたい。
 中心となるのは、昨年の総選挙での改憲4項目公約(@自衛隊明記、A教育無償化、充実化、B緊急事態条項、C参院合区解消)を掲げた自民党の動きであろう。これに教育無償化を掲げる日本維新の会、地方自治項目や自衛隊の明記等を掲げた希望の党、そして連立政権の一角をなす公明党の対応ということになろう。昨年末、自民党改憲推進本部は改憲4項目についての「論点取りまとめ」を決定した。内容は以下の通りである。@自衛隊明記については、首相主張の「1項・2項維持、自衛隊明記」と、石破元幹事長らが強く主張した『自民党改憲草案』重視、すなわち「2項削除を行い自衛隊を2項で明記」の両論併記。A教育無償化は国政上の努力義務規定。B緊急事態における国会議員の任期延長等に限定する案と、政府への権限集中と市民の諸権利制限(私権制限)の両論併記。C各都道府県から少なくとも1名選出の改正により合区解消。
 内容的にはおおよそ「論点整理」にも値しない。自衛隊明記についても詰められていない。また、緊急事態条項も前者の案は当たりさわりのない案、後者は憲法学者が批判する緊急事態にかこつけた「独裁」条項。教育無償化も努力義務規定で改憲する必要性すらない。明確に国の責任で無償化をと主張していた維新の会は猛反発している。C参院合区解消だけは党内的にはまとまったが、公明党や共産党は、故・西岡元参院議長が提案した全国を数ブロックに分け比例代表制をベースにした改革案を昨年末の参院改革協議会でも主張している。自民党は全国知事会の「合区解消意見書」をテコに、最悪でも「合区解消」の改憲国民投票(「お試し改憲」)を実施したいところだろう。いずれにしても改憲4項目ですら容易に改憲国民投票に持ち込めない。
■予想される改憲発議・国民投票の時機は?
 次に、改憲発議・国民投票の時期的問題である。総裁3選がなくなれば急速に改憲機運は萎むのは間違いないが、「安倍一強」の自民党情勢からすると3選され、さらに3年の任期延長、総仕上げが濃厚ではないか(この点でいうと、森友・加計問題等を院内では立憲野党が厳しく追及し、また院外では安倍政治の継続を許さない闘いの必要があろう)。「スケジュールありき」ではないといっていた首相が、年頭記者会見では「年内改憲案提示」に意欲を示した。その意味では安倍発言に右往左往せず改憲阻止に向けて私たちは臨んでいく必要があろう。総裁3選となれば2021年9月、任期満了だ。来年は新天皇即位で国内が慶祝ムードとなり、国論を二分するようなことは望ましくないという世論、統一地方選、参院選があり、可能性としては少ない。そういうことから逆算すると、今年の通常国会発議、総裁選前後の国民投票で(この案は強引な国会運営の必要性があり、安倍退陣と引き換えの可能性が大、9条明文改憲正面突破も濃厚)、次はオリンピック開催の2020年通常国会の発議を照準にしてくるのではないか。世論をオリンピックに誘導し改憲問題から目を逸らす効果を狙ってくる。(この案の最大の課題は前年の参院選で改憲勢力3分の2を維持するという難関がある)。
 このように改憲対象や政治日程面から安倍首相の思惑通りに事は進まない状況である。だからこそ、昨年の「論点整理」発表後、自民党の萩生田幹事長代行が「衆院解散権の制約」なども憲法審査会で議論していきたい旨の発言をしている(立憲民主党への秋波だろう)。立憲民主党の枝野代表がこの点の憲法論議を積極的に発言している。枝野代表は「当面の考え方」として「9条改憲反対」、「立憲主義に反する改憲案」には徹底して反対し、そのうえで改憲国民投票法の問題点(最低投票率・無尽蔵にお金をかけて運動できる、使い放題の宣伝合戦の是非等)を国会論戦に持ち込む考えを示した。
■改憲派の動きへの運動的対決を
 それでは世論は改憲を求めているのか。昨年12月の各種調査では7割程度が改憲反対や改憲を急ぐべきではないとの態度を示している。改憲問題は国政上の優先課題ではない。安倍首相や日本会議といった勢力だけが一気呵成に、である。
 さきの総選挙直後、日本会議系列の団体「美しい日本の憲法をつくる会」(共同代表・桜井よしこ等)が都内で700人規模(自民、維新の国会議員10人も参加)の集会を開いている。この集会で桜井は「5分の4の改憲派議員が誕生した。史上初である。自衛隊を国軍として位置付けられるかどうかだ。このチャンスを逃したらこの後は難しくなるかもしれない。安倍政権のもとで必ず憲法改正を実現しなくてはならない」旨の発言をしている。さらに、翌月の日本会議・日本会議国会議員懇談会創立20周年記念集会が都内で開催され、「国民投票では地方議員が先頭に立って進めていく。289の小選挙区に『憲法改正』推進、国民投票対策のための組織を作る。(中略)相手はまさしく『九条の会』や護憲派だがそんなものには負けない。(中略)、草の根の改憲組織の結成を急ぐ」(松田良昭日本会議地方議員連盟会長・自民党神奈川県連副会長)発言が飛び出している。改憲勢力の露骨なこうした態度に私たちも対抗していかなければならない。その意味で市民と野党の共同を一層強化・発展させていくことが必要だ。
改憲国民投票に備え地道な選挙活動的準備を
 先の第48回総選挙で、兵庫8区(尼崎市)でも市民と野党の共闘が実現。公明党公認候補と一騎打ちの形で野党統一候補として共産党公認の堀内照文さんを他の野党(立憲民主党、社民党、新社会党、緑の党)やミナセン尼崎がこぞって支援してたたかった。ミナセン尼崎の代表として奮闘した弘川欣絵弁護士(明日の自由を守る若手弁護士の会)に選挙をたたかっての感想などを聞いた。以下はその要旨。
【構成・編集部】

主人公は市民だという選挙活動を追求
―お忙しいところありがとうございます。衆院選ではミナセン尼崎としてどんな活動をされたのかでしょうか。
弘川 まず、ミナセン尼崎の出発をお話しします。2015年の安保法制成立後、同法の廃止のためには選挙で議席を変え、廃止できる政権をめざそうと、裁判闘争ではなく、純粋に安保法制廃止のために市民が選挙に取り組もうと2016年の1月31日に結成しました。県内で一番早いミナセンの結成でした。
 一昨年の参院選は複数区で活動の仕方が難しかったのですが、今回、初めて野党共闘で一本化された候補者の選挙ができるので責任の重さとやりがいがありました。
 解散までの時間を政策について考える時間にしようと、安保法制以外の社会保障の勉強会なども重ねてきました。
 ミナセン尼崎と野党との協議を経て、9月30日に開いた「尼崎市民が実現したい政治を話し合う集会」が、実質的な決起集会であり、出発でした。
 私がこだわったのは、私たちが応援する候補者は、政党のためだけの候補者でなく、私たち無党派層も含めた市民の声を国会に届けてくれる候補者であるということです。集会に提案し、決議してもらった「市民が国の政治に臨むこと」という6項目の“宣言”の第1項にその趣旨を入れました。堀内さんにそのことを受け入れてもらい、ミナセン尼崎は堀内さんを応援することを決定しました。
 その後は、時間は限られていましたが精一杯できることをやったと思います。先ず、事前には堀内さんのチラシをデザインしました。そのチラシは、共産党さんが14万枚印刷して下さり、新聞折り込みやポスティングをしました。共産党色をできるだけ薄くして、政策的にも市民の候補者なんだという内容にすることを心がけました。候補者を立てない維新の会の支持者たちも取り込めるようにと考えました。
 選挙はがきの一部もチラシと同じコンセプトで、ミナセンや他の野党の人も書けるように、「比例区はリベラル野党へ」と書いたはがきをつくることを共産党さんに承諾してもらいました。
 さらに、「市民と野党の統一候補」と書いたシールをつくり、中盤の10月15 ネット選挙にも力を入れました。
そして、街頭行動ではハロウィンの衣装でハロウィン・モモタローを2回やりました。ただのモモタローでは見てくれないだろうということからやったのですが、チラシはほんと日、候補者のポスターに一斉に貼り出しました。
うによく取ってくれました。楽し気にやっているのを好意的に受け止めてくれたのだと思います。
 もうひとつの街頭行動は「市民と野党の対話集会」です。室内の個人演説会はせず、街頭での対話集会を3回やりました。
選挙にはリアルに感動できる場面が
―そうした活動にどんな感想をお持ちですか?
弘川 私たちは街頭で行ったモリ・カケ問題や原発政策、消費税増税などの政策についてのシール投票もやったのですが、その結果、私たちと同じ意見の人たちが圧倒的に多いことを知りました。しかし、シール投票に示されるような市民の考えと実際の投票結果がつながっていないと思いました。政策で選ぶというよりも党名のイメージだけで選ぶ人が多く、自分の投票結果が現実の政治につながっていくという感覚があまりないのではないかと思いました。これを変えていくのは大変なことだなと思いました。
 総括の会議では、「勝ち負けの視点だけで総括すべきではない。市民が選挙に関わることがどこまでできたかという総括が重要だ」という意見が出ましたが、私もこの視点は重要だと思います。
 また、「ミナセンはもう一度、安保法制、立憲主義でもっと大きくまとまっていかないといけない」という意見も出ました。
私は、選挙はリアルに感動できる場面がたくさんあって、そのことをもっと多くの人に味わってほしいなと思います。自分がこの国の主人公として、自分で政治を変えていくんだと情熱をかけ、選挙活動を通して多くの人とその思いを一つにできる瞬間を体験できるのですから、何事にも代えられない感動です。
 市民選対を別個につくるべきだったという意見もありました。ミナセンのメンバー以外の市民の選挙ボランティアを受け入れて、「開かれた市民選対」を作っていくことはとても大事なことだと思っています。
 それから、政党アレルギーを超えて投票するようになってほしいと思いました。気に入った政党や候補者がいたら投票するという「消費者目線」ではなく、望む政治に近づくために、よりマシな方に投票するという大胆な戦略的投票が必要だと思います。
改憲国民投票に勝利するための準備を】
―最後に、これからの活動方向というか、どんなことをしていこうとお考えですか?
弘川 喫緊の課題として、ミナセン尼崎としてというより、個人として、国民投票運動に備えることに大きな関心があります。
 憲法改正を阻止するために最も大事なことは、現行憲法についてもっと広くきちんと知らせ憲法の「ファン」をたくさん作っていくことです。憲法カフェなどのように2時間あれば、憲法とは何かから話すこともでき、けっこう分かってくれます。そういう種まきです。それでも、いきなり憲法カフェではハードルが高いという人もいますから、たとえばまつりでの憲法ビンゴだとか、憲法カルタとか、入口としてもっととっつきやすいものも考える必要があります。実際、景品つきの憲法ビンゴなどは人気があります。
 もう一つは、名簿作りや資金集めといった、どぶ板選挙的な準備を、今のうちからきちんとやることが極めて大事だと思っています。改憲派に比べてこちらはあまりにも準備ができていないと思います。
 例えば、日本会議は改憲賛同署名を昨年5月時点で700万以上集めたといわれています。これは請願署名でなく賛同人集めです。電話番号まで書くようになっていて、署名用紙には国民投票の際に活用するとの断り書きがあります。よく考えられています。
 選挙結果をもとに尼崎で考えると、向こうは10万。国民投票で勝つためにはこちらはあと5万以上上乗せしなければなりません。そこをどうするのか。選挙に関わった経験から言うと、投票はまだまだ声をかけられたかどうかで決まってくるところがあります。だからこちらも同じように、声かけのできる10万の名簿を持つようにしなければならないと思います。例えば、3000万署名運動をする際に、ついでに国民投票運動用の名簿作りもしてしまうというのはどうでしょうか。声かけが足りなかったなどという選挙テクニック的なところで負けて、憲法改正がされてしまうのはどうしても避けたいですよね。尼崎をモデルケースにできないかというのが今の私の思いです。選挙では、ある意味、尼崎がひとつのモデルケースになれたと自負しています。ミナセン尼崎の活動でつながったネットワークを活用し、さらに広げて、実践的に国民投票運動に取り組めないかと思っています。
―まだまだ聞きたいとことがありますが、今日はこの辺で。どうもありがとうございました。
写真:(上)弘川欣絵弁護士、(中)三枚とも兵庫8区での選挙活動風景(いずれも弘川欣絵さん提供)、(下)堀内照文さんを囲む、市民が主人公の選挙活動をめざしたミナセン尼崎の仲間たち
 昨年12月、米軍ヘリの窓が、宜野湾市の市立普天間第2小学校校庭に落下した。体育の授業中の児童の10mの至近距離での落下。今年に入っても米軍ヘリの不時着事故が相次いで起きた。一歩間違えば大惨事であった。11月には飲酒運転で赤信号を無視した米兵運転のトラックの追突により男性が死亡している。
 政府は、「普天間基地の危険性撤去の唯一の選択肢は辺野古移設だ」とし、工事強行を続けている。考えればわかることだが、基地を普天間から辺野古に移設しても事件・事故が無くなるわけはない。米軍基地があるからこそ事件・事故が起きるのであって、米軍基地の撤去こそが唯一最大の危険性除去である。普天間を含むすべての米軍基地撤去が平和な島・沖縄を作り出すことは明かである。
 また、いま、「沖縄ヘイト」も大きな問題となっている。窓落下事故があった普天間第2小学校には「学校を後から建てたのに文句を言うな」「やらせだ」「自作自演」など誹謗中傷の電話が続いた。2013年、オール沖縄が行った銀座でのデモに「非国民」との罵声が飛んだ衝撃が蘇る。高江や辺野古の抗議行動への誹謗中傷もひどい。
 こうした中で、2018年は大変重要な年となる。名護市長選挙(2月)、沖縄県知事選挙(11月)では政府・自民党によるなり振り構わぬ攻勢が予想されるが、勝敗は、これに対し、平和と民主主義を守るたたかいとして、オール沖縄を中心とした県民総ぐるみのたたかいを進めることができるかどうかにかかっている。
 政府は、辺野古での工事を強行し続けることによって県民のあきらめをつくり出そうとしているが、沖縄は屈しない。新基地建設反対をはじめとする米軍基地撤去の願いは、沖縄県の民意だけではなく日本の民意であることを示し、沖縄を「孤立させない」ことが問われている。沖縄は未来のために抗い続け、民主主義を体現し続けている。
 その象徴とも言える辺野古テント座り込みが2017年12月27日に5千日を突破した。まさに不屈のたたかいが続けられているのだ。辺野古ゲート前の座り込み、海上抗議行動は工事を大幅に遅らせ、諦めず闘い続けることで新基地建設阻止の展望を切り開いている。だからこそ、警察による厳しい弾圧の中でも多くの人たちが参加し続けている。
 2018年は憲法の危機をめぐるたたかいの年である。政府によって、平和で健康に生きる権利を保障した日本国憲法の精神がないがしろにされている沖縄と連帯し、憲法の精神を生かす社会を私たち自身の手によって作りあげていかなければならない。
 沖縄に連帯するたたかいは憲法を守るたたかいである。沖縄の仲間たちとともに立ち上がろう。政府が沖縄を踏みにじり続けるなら、私たちは沖縄とともにたたかい続けよう。
 間近に迫った名護市長選(1月28日告示、2月4日投票)の勝利に向けて支援活動を強めよう。
森 哲二(平和運動研究会)
写真:元旦恒例の辺野古の浜の初興しで市長選挙への決意を語る稲嶺進名護市長
被災者を提訴する冷酷な自治体
 阪神・淡路大震災から23年。いまなお残された課題がある。その一つが、借上げ復興住宅強制退去問題だ。借り上げ復興住宅とは、震災当時、被災者が入居する復興住宅不足から、阪神間の被災自治体は、民間の住宅やUR(旧住宅公団)を借り上げ、約8千戸を提供した。入居当時の契約書には契約期限の記載されていたものから未記載のものなど様々。未記載だったある被災者は、「もし期限があったなら高齢の母親を抱えて入居などしなかった」と憤る。
 震災後、復興住宅の被災者は新たな地で人と人とのつながり=コミュニティを一から築き直してきた。今、再びそのコミュニティが断ち切られることは、被災者の命を縮めることにつながりかねない。そのことは、震災直後、“孤独死“の増加が社会問題化されたことでも明らかである。神戸市は、多くの犠牲を払ったその教訓を生かすことなく、また同じことを繰り返そうとしているのである。
「真面目に生きてきた私がなぜ被告にならなあかんの」
 兵庫県や神戸市は、被災者を年齢(兵庫県は原則80歳以上、神戸市は85歳以上)や要介護度、障がいの有無など一定の条件を満たせば入居継続を認めるなどの線引きをし、居住し続けられる人と転居しなければならない人とに分断した。兵庫県は判定委員会を設置し、個別の事情にも配慮してきたが、神戸市は“はじめに転居ありき”で、「住み続けたい」と訴える被災者9世帯を、契約期限の20年が過ぎたことを理由に部屋の明け渡しと期限後の賃料相当額(本来家賃)の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴、市民を、被災者を訴えた。 ある高齢の被災者は「家賃もきちんと払い、真面目に生きてきたのに、なぜ私が被告にならなければならないのか」と憤る。
 この間、神戸地裁で、数十回にわたって審理が行われてきたが、裁判での弁護団の弁論や傍聴支援の一方、「希望する人すべてに“終の棲家“を求める署名」運動や「被災地と被災者を考える懇談会」などの相談会、兵庫県・神戸市への申し入れなど、様々に運動が展開されている。
「元気でいられるのはここしかない」
 その最中の昨年10月、被告9世帯のうちの一人、Nさん(79歳・女性)に判決が下された。Nさんの場合は、公営住宅法に基づき、神戸市が入居前に契約期限と明け渡しの義務を通知していたかどうかが争点だった。神戸市は「入居許可書で通知した」と主張。これに対し、Nさんは「通知は入居許可書では遅く、入居決定時(当選の通知をする時)に行わなければならなかった」と反論。神戸市は「入居許可時に期限の通知をしており、明け渡しを求めることができる」とし、Nさんの反論の機会も保障されぬまま、裁判所は早々と神戸市の請求を認める不当な判決を言い渡した。
 Nさんは持病やケガで歩行が困難な状態。「この部屋は長い時間をかけてつくった一番暮らしやすい環境で、元気でいられるのはここしかない」と控訴した。今後、“居住権”をめぐるたたかいの場は大阪高裁に移る。現在、大阪高裁での「公正な裁判を求める署名」運動が展開されている。
一人ひとりが向き合わなければならない課題
 震災後、二重ローンを組んで頑張ってきた被災者や自力で自宅を再建した被災者は多い。苦労を乗り越えてきた人ほど、借り上げ復興住宅の被災者に対しては「いつまで甘えているのだ」と、向ける目は厳しいものになる。
 でも、考えていただきたい。今後、神戸市内で、契約期限を迎える借り上げ復興住宅は約1600世帯。しかも、阪神・淡路大震災の被災者だけの問題ではなく、東日本大震災、熊本地震など、災害が続くこの国において、私たち一人ひとりが避けては通れない、向き合わなければならない問題でもあることを。ぜひ、署名や裁判の傍聴などで被災者に寄り添っていただくことを願う。私たちひとりひとりの問題として。
小林るみ子(神戸市会議員)
写真:関本(旧姓市川)英恵さんが著した、借り上げ復興住宅問題を判りやすく本格的に説明した書

 昨年11月3日の「憲法を活かす1万人意見広告」(神戸新聞掲載)に取り組んだ「戦争させない、9条壊すな!5・3総がかり行動兵庫県実行委員会」(呼びかけ団体=戦争をさせない1000人委員会ひょうご、憲法改悪ストップ兵庫県共同センター、9条の心ネットワーク)は、改憲をめぐって正念場となる今年の5月3日の憲法記念日に、一昨年と同様、神戸市中央区の東遊園地で1万人規模の「戦争させない、9条壊すな!5.3兵庫憲法集会」を開く。このほどその開催要項を確定、集会の成功に向けた呼びかけを始めた。
 いま、各地で取り組みが進む「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名」(3000万人署名)運動と連動させながら、集会への1万人の結集をめざす。
 同実行委員会では、いま、その賛同団体を募っている。賛同金は団体1口3千円で1口以上。郵便振替で(口座名称=総がかり行動兵庫実行委員会、口座番号=00950−1−275562)。
 また、集会成功に向けて3月1日にプレ集会を開催する。
 阪神・淡路大震災の被災者支援を続けてきた河村宗治郎さん(兵庫県被災者連絡会会長)が1月8日深夜、肝臓ガンのため亡くなった。81歳だった。河村さんはまた、戦争を起こさせない市民の会代表としても平和運動に熱心に取り組んできた。

写真:集会で発言する河村宗治郎さん=2017年11月8日
 「こわすな憲法!いのちとくらし!市民デモHYOGO」が呼びかける毎月19日行動が12月17日、神戸市勤労会館で開催され、約80人が参加した。「市民デモHYOGO」ではこれまで、16年12月の子どもの貧困学習討論集会、17年7月の映画「さとにきたらええやん」上映会など子どもの貧困問題に取り組んできたが、今回は「子どもの貧困を考える」PART3として行われた。
 集会では、子どもの育ちをサポートできる社会を目指し走り続ける、大阪子どもの貧困アクショングループ・NPO法人CPAO(シーパオ)の徳丸ゆき子さんが、『子どもたちの「まず、ごはん!」をどう支えるか?』のテーマで講演。
 徳丸さんは、12歳男児を持つシングルマザーとして2013年に団体を立ち上げ、東奔西走しながら大阪市生野区を拠点に、毎週3日の「ごはん会」という子ども食堂を運営している経験も交えながら、「しんどい状況に置かれている子どもたちのひとりひとりの居場所となるような場所が必要」と指摘。また、母子世帯の相対的貧困率が50・8%と、先進国では最悪の数字になっていることも紹介し、「子どもの貧困は親の貧困という視点で、親ぐるみで取り組まなければならない」、「今の社会は孤立している人が多い。しかし、心がつながれば人は生きていける」、「今、私たちがやっている活動は応急手当で、抜本的解決は行政の責任だ。でも行政だけではすべてをカバーできない。そこを民間が埋めなければならない」、「詰まる所、お金と時間(労力)が必要。どちらかで支援を」と訴えた。
 講演に続き、貧困問題にかかわる団体として、「神戸の冬を支える会」の觜本郁さん、「地域でつくる子どもの居場所・はぐくみ」の堀田佳祐さん、みんなの食堂「なかみち・こみち」の松本よしえさんからそれぞれ訴えが行われた。
(中村)

写真:12月の「19日行動」として位置づけられた集会では子どもの貧困問題に関わる団体の代表からの講演や報告が続いた=17年12月17日、神戸市
 脱原発はりまアクション主催、コープ自然派共催の「原子力防災と福島避難者の声を聞く会」が昨年12月9日、加古川市の県加古川総合庁舎内で開かれ、44人が参加した。
 会でははじめに、福島原発事故避難者の声として、福島県浪江町から関西に避難している菅野(かんの)みずえさんから「わたしたちのようにならないでください。今ならまだ間に合う」と題した報告を受けた。菅野さんは事故直後、一度大阪に避難したが、その時、「あなた達が逃げて来るから高速道路を通じて汚染が広がる」などと言われたことを明らかにした。
 この言葉に私もショックを受けた。こんな言葉を大人が発するから、子どもたちが福島から避難した子ども達に「放射能がうつる。福島に帰れ」などのいじめを行うのだと思う。
 つづいて、フリージャーナリストの守田敏也さんの報告。守田さんは、この間のフランス、ドイツ、トルコなどでの世界規模的な「反核交流集会」の報告から始め、自身が委員を務める篠山市の原子力災害対策検討委員会の取り組みによって篠山市民全員に原発事故時対応のパンフレットの配布やヨウ素剤の配布にまで至った詳しい取り組みを報告した。
 さて、読者の皆さん。今すぐ関電の電気から離れましょう。それが原発再稼働にのめりこんでいる関電を追い詰める大きな力になります。
(菅野逸雄)

会では福島から関西に避難している菅野みずえさんのお話を聞いた=17年12月9日、加古川市
インフォメーション
5.3兵庫憲法集会プレ集会
  • 3月1日(木)18時30分〜20時
  • 神戸市勤労会館7F・大ホール
  • 講演「憲法を守る力をつくる」内田 樹さん(神戸女学院名誉教授
戦争をさせない、9条壊すな!5.3兵庫憲法集会
  • 5月3日(木・祝)14時〜15時
  • 東遊園地(神戸市中央区)
  • メインスピーカー 神田香織さん(講談師)
  • ※集会終了後パレード
春闘期の学習会に 「データブック2018〜働く者の「いま」と「これから」〜
  • 労働問題研究委員会編
  • A5判68頁/定価500円(税込み)
  • 内容 働く人々の現状/グローバル化と日本経済/富を勤労国民とその家族へ取り戻そう地方自治/こどもの貧困と教育/農林業とTPP今こそ非武装中立の日本を
  • 申し込みは新社会党兵庫県本部へ(078・361・3613)