「新社会兵庫」 2017年11月28日号
 先の総選挙で市民と野党の共闘はどのように取組まれたのか―。連帯兵庫みなせんが主催する総選挙を終えての討論集会が11月5日、神戸市内で開かれ、選挙闘争の総括論議を始めた。集会には約50人が参加。立憲民主党、共産党、社民党、緑の党、新社会党の各党代表と選挙をたたかった候補者も参加し、それぞれから発言が行われた。
 冒頭、総括討議に向けて松本誠・連帯兵庫みなせん事務局長が、衆院選の特徴、みなせんとしての取り組みの経過を報告し、次への市民と野党の共闘態勢の再構築を展望しつつ、選挙総括に向けた論点などを提起した。
 続いて各政党からの発言へと移ったが、このうち、粟原富夫・新社会党県本部委員長とともにあいさつした兵庫9区の菊地憲之さんは「選挙には敗れたが、共産、社民、緑、新社会の4野党共闘に加えて、立憲民主党の応援も得たほか、連帯兵庫みなせんや市民連合あかしの支援をうけ、文字通り市民と野党の共同候補として選挙をたたかうことができた。このことに改めて感謝し、これを基盤に今後も共闘運動を推し進めていく」と決意を述べた。
 また、8区でたたかった共産党の堀内照文さんは、「開票後、新社会党から選挙闘争を通じて『共闘の土台ができた』とのあいさつを受けたが、その通りだと思った。今後も皆さんと一緒にたたかう」と表明。
 選挙期間中、立憲民主党で活動した前参議院議員の水岡俊一さんも出席し、「市民と野党の共闘こそ重要」と述べた。
 このほか、6区で立憲民主党から立候補し、比例で復活当選した桜井周議員や2区、3区、7区でたたかった共産党候補、各区みなせんからの報告が続いた。
 これらの発言を受け、松本誠事務局長は、「政党と市民が当たり前のように議論できるようになった。これをさらに前進させたい」と、2019年の参院選にむけて共闘運動の推進に取り組むことを表明した。
(浩)
写真:新社会党からは粟原富夫委員長(左)と兵庫9区で闘った菊池憲之書記長があいさつした=11月2日、神戸市立婦人会館
 憲法ひょうごが主催する第20回ピース・セミナーが11月7日、高作正博・関西大学教授を講師に神戸市勤労会館で開かれた。
 今回のテーマは「衆議院総選挙『後』の改憲論」。そのなかで、高作さんは、この間、安倍政権が持ち出してきた憲法改正の理由がいかにためにするものであるかを指摘。
 さらに、安倍首相の「自衛隊明記」の改憲論について検討し、その発案者である伊藤哲夫氏(日本会議政策委員)の主張とねらいを紹介。「加憲」のねらいは「護憲派の分断」にあり、まずは加憲し、その後に戦後民主主義の否定と復古的な臣民意識の確立が目論まれていると批判した。さらに、9条に「新3項」を加える問題性について、法律的にも憲法改正の必要はなく(従来の政府見解では自衛隊は合憲)、安保法制によって集団的自衛権を行使できるようになった自衛隊を明文化することは、活動範囲や兵器使用等、9条1項、2項の制約を無効化してしまうことになると、その危険性を訴えた。
 そのうえで、選挙後の政治状況を考慮すれば、「良い改憲論」などはありえず、改憲論議の土俵自体に乗ることの危険性についても指摘。来年の通常国会での改憲案発議さえ否定しきれない状況から、今後は「憲法改正国民投票」を念頭に置いた議論を進める必要性を強調した。そして、リスクが大きいという圧力で国民投票に向かわせない議論と運動の構築が必要だと結んだ。
写真:講演する高作正博さん=11月7日
 新社会党近畿ブロック協議会(山下慶喜議長)は秋季恒例の近畿ブロック党学校を11月11日~12日、約40人が参加して大阪市内で開いた。
 1日目は、澤野義一さん(大阪経済法科大学教授)の講演「総選挙後の憲法をめぐる情勢と私たちの課題」と題する講演に学んだ。澤野さんは今後の課題について、「安倍9条改憲」と憲法の3原則を否定する自民党改憲草案の危険性をしっかりと市民に知らせ、野党共闘によって改憲勢力に改憲発議をさせない運動の重要性を強調。と同時に、現行憲法の歴史的意義や今日的意義の学習・普及が必要であることにも言及し、新社会党の憲法政策の今日的意義の再確認と補充の検討を促した。
 続いて、岡﨑ひろみ・新社会党委員長から党中央本部が提起している党中期政策の補強素案について、その背景となる情勢変化の認識や党としての政策上の問題意識などの解説を受けた。
 その後は、2日目の午前中も含めて、各府県本部から先の総選挙闘争の報告や、今後の改憲阻止に向けた取り組み課題、とりわけ「安倍9条改憲NO!憲法を生かす全国統一署名(3000万人署名)」運動の取り組み強化などに関する発言が続き、活動の交流を深めた。
 発言の冒頭には兵庫9区で野党統一候補として闘った菊地憲之・兵庫県本部書記長から支援への感謝と選挙戦の感想などが述べられ、参加者から労いの拍手を受けた。
 総選挙では今回、各府県で新社会党が微力ながらも野党共闘に加わり、野党統一候補を応援する取り組みをしたことが特徴的だ。その中から、改めて市民と野党の共闘、野党共闘の強化の重要性を再確認し、あわせて、その共闘をしっかり担うための党の力量の強化が切に問われていることも確認し合って閉会した。
写真:先の総選挙闘争の総括や今後の憲法闘争の課題などを学習・討論した党学校=11月11日、大阪市東住吉区
5団体の共催で不当判決・抗議集会
   神戸市が阪神・淡路大震災の被災者向けに提供した借り上げ復興住宅で、市が借り上げ契約期限の20年が過ぎたとして、「キャナルタウンウェスト」(同市兵庫区)に住む79歳の女性のNさんに住居の明け渡しなどを求めた訴訟で、神戸地裁は10月10日、市の主張そのままに明け渡しを命じる不当判決を出した。
 Nさんは持病やけがで歩行が困難な状態。「住み慣れたここでしか生活できない」と控訴した。
 この不当な判決に抗議し、控訴審の大阪高裁にNさんの声を届けようと11月8日、「神戸・借り上げ復興住宅『被災者追い出し裁判』不当判決・抗議集会」が、阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議、被災地と被災者を考える懇談会、一人ひとりが大事にされる災害復興法をつくる会 兵庫県震災復興研究センター、ひょうご震災復興借り上げ住宅協議会の5団体の共催で兵庫勤労市民センターで開かれた。
 集会では、借り上げ復興住宅弁護団から、Nさんの厳しい生活実態が映像で紹介され、神戸市の対応の不当性や神戸地裁での審理の問題点について解説と問題提起などが行われた。今後、控訴審での充実した審理と公正な判決を求めて署名活動を展開していく。
写真:被災者追い出しの不当判決の控訴審での充実した審理を求める署名活動に取り組むことを確認した抗議集会=11月8日、神戸市
 ひょうご地域労働運動連絡会の第14回定期総会が11月12日、神戸市内で開かれ、県下各地から49人が参加した。
 主催者を代表して酒井浩二議長(尼崎地区労)が「ミサイル・核問題を煽り、野党の弱体につけ込んだ『国難突破解散』は、まさに『モリ・カケ』隠しだった。希望が失望へ、そして絶望へと変わり、小池新党は野党共闘つぶしとなった。結果、自民の大勝を許した。今後、改憲が大きな政治課題となる。もうひとつは『働き方改革』だ。労働時間規制の緩和を許すのか。これに取り組む私たちの覚悟が問われている。地域の力を結集しながら闘いをつくっていこう」とあいさつ。
 その後、岡崎進事務局長(明石地労協)から議案の提案が行われ、5組合からそれぞれの地域・組合での闘いの報告を受けた。
 第2部では、在間秀和弁護士(大阪労働者弁護団)から、「『働き方改革』関連法案とは?」と題する記念講演を受けた。在間さんは「法案の中身は“労働時間”と“賃金”の大転換を行おうというもの。その中身は、労働者から見れば“ドロ船”であり、“毒饅頭”だ。労働組合が先頭に立ってぜひ闘ってほしい」と提起した。
 最後に日置孝事務局次長(明石地労協)が「学習と地域の連携を強め、『働き方改革』反対の闘いをつくっていこう」とまとめ、閉会した。
(塚原)
写真:総会では在間秀和弁護士が記念講演で安倍政権の「働き方改革」を徹底的に批判した=11月12日、神戸市
米軍基地いらんちゃフェスタjn丹後2017
 京丹後市経ヶ岬の米軍Xバンドレーダー基地の撤去を求める「米軍基地いらんちゃフェスタin丹後2017」が11月5日、京丹後市峰山町の丹後文化会館で開かれ、地元丹後をはじめ、近畿各地から650人が参加した。兵庫からも憲法を生かす会・ひょうごネットのメンバーらが集まった。
 今年で4回目となる同集会の主催は地元の米軍基地建設を憂う宇川有志の会と米軍基地建設反対丹後連絡会。米軍基地いらない京都府民の会と米軍Xバンドレーダー基地反対・近畿連絡会が協賛。
 集会に先立ち、米軍基地前で、地元との約束事をほとんど無視し軍人・軍属らが交通事故を多発させていることなどに対する抗議のアピール行動が(=写真上)。
 集会では前泊博盛さん(沖縄国際大学教授)が「北朝鮮問題と日米地位協定の課題と処方箋」と題して記念講演を行い、基地問題をめぐる日米地位協定の問題点などについて分かりやすく解説し、その抜本的改定の必要性を訴えた。
さらに、永井友昭「宇川有志の会」事務局長が多数の写真で現地報告。米軍基地設置後、隣接する自衛隊基地の拡張が進むとともに、米軍基地のさらなる拡張も予定されていることなど、日米軍事一体化の強化が着実に進められていることなどが明らかにされた。
 集会終了後は、「平和な丹後を子どもたちに残そう」「米軍基地はいらない」「日米地位協定の抜本的改定を」などとシュプレヒコールをあげながら峰山町内を周回するデモ行進を行った(=写真下)。
2017社会主義ゼミナールⅡin近畿
 『資本論』刊行150周年、ロシア革命100周年という節目の年に、「資本主義をこえる変革への展望をどのようにひらいてゆけるか」を考えようと、「2017社会主義ゼミナール②in近畿」が11月12日、大阪市北区の国労大阪会館で開かれ、近畿各地から会場満杯の135人が参加した。
 マルクス経済学者の伊藤誠さん(東京大学名誉教授)が、「『資本論』と21世紀型社会主義」と題して、「資本主義の原理を探求してその変革への可能性を体系的に明らかにしたマルクスの発想に立ち戻り、20世紀型の社会主義と社会民主主義の成果と限界を検討し、そこから新自由主義に対抗する多様な民衆の地域社会に根ざした連帯運動に基礎をおく、21世紀型社会主義を一緒に考えよう」と、講演した。
 その締めくくりとして、伊藤さんは、崩壊した20世紀型社会主義が国家主義的であったことに注目し、21世紀型社会主義の可能性について、もっと下からのさまざまなグラスルーツの協力・連携の大切さを強調し、「社会主義へは唯一の正しい道があると考えるのではなく、もっとのびやかに自由な広い選択肢が社会主義への道として話し合われていくべき時代なのでは」と問題提起した。
写真:「『資本論』と21世紀型社会主義」と題した伊藤誠さんの講演に135人が学んだ=11月13日、大阪国労会館
インフォメーション
憲法カフェNO.13 「憲法9条を考えよう!改憲で平和が守れるのか?」
  • 12月3日(日)14時
  • 新長田勤労市民センター
  • 講師:津野公男さん
  • 参加費500円
  • 主催=憲法を生かす会・長田等 078・576・3544
たるみ憲法カフェ・「『昭和の戦争とおじいちゃん』~この本を書いた竹内隆さんを囲んで~
  • 12月3日(日)14時
  • 喫茶ティンカーベル(垂水区塩屋町3)
  • お茶代 500円 
  • 主催:憲法を生かす会・垂水 090・3976・6605(門永)
2017平和の集い
   望月衣塑子さん(東京新聞記者)講演会
  • 12月9日(土)14時
  • あすてっぷ神戸
  • 演題「今なら止められる武器輸出~戦争ビジネスに舵を切らせるな~」
  • 参加費 800円
  • 主催=I(アイ)女性会議ひょうご 078・360・4674